複雑・ファジー小説
- Re: 愛と正義の交響曲(元わかりあうための闘い) ( No.47 )
- 日時: 2014/09/26 18:37
- 名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)
愁二side
俺は銃を引き抜き、奴に狙いを定める。
しかし、手が震えているため、標準が定まらない。
すると、銃を向けられているというのに、奴は恐怖するどころか笑っていた。
「能力での勝負は諦めたようですね。ウフフッ、僕を銃で撃つつもりですか」
「……ああ、そうだ」
「撃ってみてください」
彼は笑顔を少しも崩さずに、俺に語りかける。
「……死ぬぞ…」
「僕があなたの撃った弾で、死んでしまうと思っているんですか?」
その言葉にカチンと来た俺は、ついに引き金を引いた。
カチッ
しかし、弾は発射されず、何度引き金を引いても、カチカチという音がするばかりだ。
すると彼は着ているナポレオンコートのポケットから、何かを掴みとり、地面に落とした。
それは、驚いたことに俺の銃の弾だったのだ。
「ウフフフッ、僕がなんの対策もせずに、あなたを挑発すると思っていたのですか?」
くっ…コイツ、あらかじめ俺の銃から弾を引き抜いていやがったのか…!
「そういうことですね。この勝負は僕の知能勝ちってことで—愁二さんは、潔く僕に負けてください」
その刹那、奴が消えたかと思うと、俺はフレンチによって軽々と目の高さまで持ちあげられていた。
「結構楽しい知能戦でしたよ、愁二さん。でも、最後に笑うのは、この僕なのです」
彼は俺の顎と太腿あたりを掴み、凄まじい力で背骨を弓なりにする。これは有名なプロレス技アルゼンチンバックブリーカーだ。
「骨が折れないうちにギブアップしたほうがいいですよ」
明るい声とは裏腹に微塵も情をかける気はないようで、次第に力を強めていく。どうやら、奴はこの技で俺を半殺しにするつもりらしい。
この地獄のような技から脱出しようと力を加えるが、彼の腕のロックは強力で、力が逆に吸収されて、倍の力で絞り上げられる。
「僕の勝利する確率は99%、1%はせめてもの情けです」
その声と共に、俺は自分の意識が徐々に遠のいていくのを感じた。