複雑・ファジー小説

Re: 或る国の僕と君と…【コメ募集】 ( No.10 )
日時: 2014/09/24 21:27
名前: 姫音桜子 (ID: l1OKFeFD)

「水晶…?」
腰を低めて水晶を両手で持つ

「さっきまではなかったですよね」
痛そうな脚の傷を手で抑えながらエラはつぶやく
「手で抑えたらだめよ!布で出血止めないと」

ちらっとハーマンの方を見ると彼は腕に怪我をしていた
どうやら、さっきの大きな蛇の後ろに立った時に
蛇の尻尾でやられたのだろう
「あんたも怪我してる!」
「お前ら2人ともドジだな…」
すみませんと二人は苦笑いをする

『願いを叶える…水晶…』

水晶から女の声が聞こえて、胸が一瞬飛び上がる

「古くなさそうな水晶だから、きっとこの小屋を出てから作って忘れたんだな」
平然に驚く仕草も表情もしないカミルがじっと水晶を
見て呟く

『願いを3つまで…叶えます…』
水晶はまた大人っぽい女性の声をする

「じゃ、じゃあ、エラとハーマンの怪我を治して」
とっさに思いついた願い事を言うと

水晶は紫色に変わり、水色の光のような物が
エラとハーマンを包み込む

10秒も経たないうちにその光は消え
エラの痛々しそうな脚の怪我とハーマンの腕の蛇の攻撃でもらった怪我が治った

「すごい…本当に…治るなんて」
「すごいです!その水晶!」
二人共明るい顔をして驚く

『願い事は…あと…ふたつ…』

カミルは私の手にあった水晶を奪った
「ちょ、ちょっとー!」
「今度は俺だ。魔女の居場所を教えろ」
水晶の色は再び紫色になり、魔女の居場所を映し出す

水晶の中に見える魔女の姿は
一般人の首を締めている所だった…

息を飲み込むかと思うほど驚いた
一般人は苦しそう白目を向いている
魔女はただ、笑っていた

どこか切なそうに嬉しそうに
初めてみる複雑な笑顔…