複雑・ファジー小説
- Re: 或る国の僕と君と… ( No.5 )
- 日時: 2014/09/23 02:05
- 名前: 姫音桜子 (ID: 7TW18VFI)
「それにしてもお姉さん、胸大きいねえ」
固まっているのを隙に男が私に注目する
「は、はぁあああ?!歯を食いしばれ、ごらぁあ!
アンバー殿のことをそんな目で見やがって!」
エラは戦闘態勢に出た。いつもは丁寧語なのに悪い口が出ている。私はなにを言われたのか少し考え
気がつき、真っ赤になる
「あらら、真っ赤になっちゃってー面白いね?あと、おちびさんに殴られても痛くなさそうだなあ…」
悪戯っぽく微笑み男はエラの髪の毛を触る
「ああそう?じゃあ、拳じゃなくて魔力がいいのですね…いいですよ魔力ぶち込みますよ」
ゲスイ笑みを浮かべ、男の手を叩くエラ
カミルは呆れ顔で止めに入る
「場所を考えろ、ちび。
こいつさっきの話知っちゃったんだぞ」
「ちびは余計だけど、…わかったよ」
しゅんと先程の態度を
反省するようにエラは大人しくなる
「なんで、王女のことを嫌いみたいな言い方をしたの?」疑問に思って唐突に質問する
「さあー?お姉さんには関係ないさ…あ、お姉さんじゃないか。メイソン一家の長女かー!」
言葉を大きく声に出し男は微笑む
周りにいた魔法使い達はひそひそし始めた
「あなた、私の苦手なタイプだわ…」
本音を彼に言ってしまう
「あはは…僕は君のこと結構気に入ったよ」
さっきはにこにこと微笑んでいた男は真剣な眼差しで私を見つめる
「申し遅れたね、ハーマン・ウィルソンです」
また微笑み手を差し出し握手しょうとする男。
なんだか、悪い予感がする
「ウィルソン……」
カミルはなにかを考えるように呟く
「知り合いですか?」
「おちびまな板さんは知らないんですね」
エラの質問に食いつくウィルソンさん
「まな板とかちびとかうるっさいですね」
イライラするエラさん
「お前…」
思い出したように、カミルはウィルソンさんを
しっかりと見つめる
「ウィルソン一家の、次男のハーマン…」
私も記憶をかき分けて思い出した。
ウィルソン一家は魔法使いの中で一番の
嫌われ魔法使いである
「どうせ、魔法使いで一番好かれる一家メイソン一家とは大違いだね」あははと笑いカクテルを飲むハーマン
「ハーマンさんは、なにか悪いことした?」
「してないさ18年間、そんな大きな悪いことしてない」
苦笑いをする彼を見るのがなにか違和感があった
「可笑しいよね、なにも悪いことしてないのに
そうやって嫌われるのって」
彼の飲んでいたカクテルを奪い、飲む。
ハーマンさんは瞬きを数回して一瞬、頭の中が真っ白になっているような顔だった。
「私も可笑しい、なにもしてないのに好かれるのも。まあ、魔法使いも人間も結局は同じだよ。なんにかの影響で人をそういう風にしか見えなくなって 流されるのが当たり前な世間」
ハーマンさんは耐えきれず大声で笑う
「あはははっははっ、いやあー本当に面白いね!」
「なっ、せっかくアンバー殿がいい事言ったのに
なんなんですか、あんた!」
「ただの魔法使いさ、あとこれから君らについて行く魔法使いになるかもしれない」
にこっと笑い彼はカクテルをおかわりした