複雑・ファジー小説
- Re: 或る国の僕と君と…【コメ募集】 ( No.9 )
- 日時: 2014/09/23 23:09
- 名前: 姫音桜子 (ID: 7TW18VFI)
森の風が気持ちいいほどに通る
それほど長くない自分の髪の毛が揺れる
小屋の壊されたドアの先には人気を感じなかった
「だーれかいませんかー?」
陽気にハーマンは声を出すが小屋の中からは
シーーンという風の返事しか聞こえてこなった
きっと、魔女はここにいないと
私達は小屋に背を向けて降りようとした
その時
「うわぁあああっ」
一番後ろにいたエラが悲鳴をあげた
驚いて反射的に振り向くと
エラの細い脚が…小屋の床が壊れて挟まっていただけ
「勘弁してくれよー、まな板」
ほっとため息をついて安心するハーマン
「てっきり、魔女かと思ってしまった」
こちらのカミルもため息をついて安心する
私も自分の弟子が襲われたのかと思い
思わずドキッとしてしまったので安心した
2年間も一緒にいたからエラは家族みたいな存在なのだ
風邪で寝込んだ時も、イライラしてむしゃくしゃしてた時も見た目は妹みたいだけど、看病したり相談に乗ってくれた…大切な存在
涙目で助けてと言いそうな目で見つめるエラ
「ごめんなさい…」
「まったくだ、ほらよ」
手を差し伸べるカミル、いつもは冷たいのになぜか
優しいなと内心思う
「やっぱり、ここの小屋古いんだね可愛いのに」
白いペンキで塗った少し傷んでる木の壁に赤い屋根
こんな小屋に魔女が住んでたと思うと少し
考えられなかった
「ってか、まな板。血出てるぞ」
ハーマンはカミルが救出したエラの脚を見て気がつく
な、なんですとと驚いて私も気がついた
「今すぐ、手当、し、しないと!」
慌てて言葉を詰まらせる
ぷっと吹き出す、ハーマンとエラ
「な、なんで!?」
「アンバー殿、慌てすぎです…あははっ」
「アンバーちゃん、意外な一面あははっ」
場の空気は一瞬にして明るくなる、カミルも耐えきれず
顔を逸らしてクスクス笑う
「み、みんなあ…」
少しの嬉しさと馬鹿にされてる感が混ざり
自分も笑ってしまう
「あれれ、俺にこいつMだって顔してたくせにアンバーちゃんMなのかな?」悪戯坊主が笑っているように
ハーマンは笑っていう。
私って、そんな顔してたのと思い両手でほっぺたを支える。適当に言ったのに図星だったのと驚くハーマン
それもまた笑いの種になって笑ってしまう
「はっ、それより怪我!怪我!」
慌てて思い出す。カバンから緊急用の箱を出す
「うーっ、怪我する体質じゃないのに…アンバー殿ありがとうございます…」
「いいんだよいいんだよ、私ばっかり甘えてエラちゃん甘えられなかったんでしょ…?」
そうだ、今から思うと本当に本当に
年上で師匠なのに甘えてばっかりで耐えてきたエラは
偉いと思う。
バンバッシャン…ドドドン
突然の音に驚く
な、なにと、さっき確認した小屋のドアの先を見る
「何者だ!」
鋭い声を響かせ叫ぶカミル
黒い影がどんどん近づいてくる
光を浴びてようやくその姿が見えた
それは人間よりデカイ頭と胴体の黒蛇だった
恐ろしくて腰を抜かしてしまう
「っ…あんたら、下がってろ。カミルくん!頼む」
ハーマンは前に出て、カミルと肩をあわせた
「で、でも!」
私も戦えると言おうとしたら ハーマンはさっきの明るさが嘘のように険しい顔をして
「下がってエラちゃんの傍にいてあげろ!」
蛇は長い胴体をクネクネ動かし
ハーマンに襲いかかる
「ハーマン!」
カミルは慌てて炎を真っ直ぐ蛇に向けた
蛇は首あたりに赤いヤケドをする
「ありがとよ、カミルくん」
その隙にハーマンは蛇の後ろに回り込む
「カミル!蛇を頼む!」
人差し指で円をかき、魔力を集めカミルに魔法を
飛ばすとカミルは消える
蛇はなにが起こったのか混乱したように右や左を向く
「ここだっ!」
姿は見えないがカミルの声が聞こえる
その瞬間、蛇の周りは赤い炎で囲まれた
「アンバー、小屋から避難だ」
ようやく姿を現したカミルが私にいう
「わ、わかった…」
頷いて返事をして杖を慌てて出して数回、回す
地面についた時には 木の上の小屋は燃えていた
まるで小屋が泣いているような音で火に包まれていた
呆然とその様子をみる私達
ゴトッと足元に硬いモノがあった
なんだと足元を見ると丸い水晶だった