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複雑・ファジー小説
- Re: 魔が玉 (改) ( No.14 )
- 日時: 2015/06/29 21:44
- 名前: ななか (ID: enKf/rbe)
(葵side)
夏菜は階段の下に広がる景色を信じられないようであった。目を大きく見開きながら、
「そんな……ここは鎌倉で………だったのに……」と、ぶつぶつ言っている。まあ、わからなくもない。タイムトリップを仕掛けたのは私ではない。タイムトリップなんて、
空想上の物だ。しかし、これは夢ではない。ほっぺをどれだけつねってもつねっても痛い。
夏菜にどう声を掛けて良いのからない。いや、きっと今はどんな声を掛けても混乱してしまうばかりであろう。
家へ戻り、いろりのふちに座る。
私も平成からタイムトリップした。2年くらい前の話だ。当時私は16だった。神奈川の港に住んでいた私は漁港で働いている父に用があり、港へ来ていた。海が好きな私はその日、1人で海風に当たり、海に昼食を食べに来る鳥たちを眺めていた。すると、急に意識が遠のき、気がつけば此処にいた。
私を助けてくれたのは多賀山さんと言う方だった。彼は国に支える武士で、そこそこの階級だったらしい。私は子供のいない多賀山さんに後継ぎとして育てられた。
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