複雑・ファジー小説

Re: 魔が玉 (改) ( No.16 )
日時: 2015/07/08 23:55
名前: ななか (ID: enKf/rbe)

昼は娯楽の一種だ、と府屋さんは言う。それをいいことに、採寸を終えた私はそばをごちそうになっていた…。
『ところで夏菜、質問とかはないのか?今ものすごく混乱してると思うんだが。』
「逆に現実味なさすぎて混乱できません……。」
『まあ、そうだよなぁ。』
ははは、と修二さんが笑う。
昨日は混乱して、夜あまりねれなかったがいざ一晩経つと人間慣れてしまうものだ。
「質問、というよりもあっているかどうか聞いて欲しいのですが…。私は今江戸時代にいるんですよね?」
『あってる』
「なんらかのタイミングでタイムトリップしてしまった、と。」
『あってる。』
「タイムトリップの理由は不明で、帰り方もわからない。」
『あってるよ、残念ながら。』
はあ、と息を吐く。本当に実感がわかない。夢ではないことは昨日物理的に痛いほどわかったが……

店の裏は広く、砂をかぶっているが広いお座敷がある。働いている人達はみんなここで食事をとって、夜は二階で寝ているらしい。
採寸部屋や作業室も二階にあって、一階よりもたくさんの人がいた。私の着物もそこで、今日中に仕上げてもらえるらしい。
『まあ、しばらくゆっくりしてな。俺はそろそろ仕事に戻らないと、だからな。』
修二さんはそう言って、店に戻って行った。

ふぅ、と息をつく。
私は今、何をすればいいのか。
何が最善策なのか。
どうすれば元の時代に戻れるのか。
「考えるだけ無駄、か。」
府屋さんを手伝おう。
私は修二さんを追って店に戻った。

第1章 終
東京時間軸管理局① へ >>17