複雑・ファジー小説

Re: STORM[キャラ募集中(味方サイド 一人)] ( No.104 )
日時: 2015/01/02 22:08
名前: ブラッドオレンジ (ID: 4pf2GfZs)

「キマイラは?」
「残党の処理に当たってるわ。すぐ合流するでしょ」
本当は怪我をしているので置いてきたのだが、それを言うと道郎からお叱りを受けそうなのでごまかしたにすぎない。
道郎はそれを知ってか知らずか、それ以上は問わず、「そうか」とだけ相づちを打った。

「なぁに?貴方…」
いきなり現れた鈴音に対し、NOVAは敵意の籠った視線を向ける。
道郎と戦っていた時も殺気を放っていた彼女だが、今はそれとは違う、完全に憎悪で満ちたオーラを全身からにじませている。
道郎との「交流」を邪魔されて、不機嫌なのだろう。
鈴音はその威圧をも笑顔で受け止め、愛刀を掌の上でまわしてみせる。
「いやぁ、二人ともいい空気だったからちょっと水を差したくなっちゃって」
「まさか、貴方も道郎を狙っているの?」
「はぁ?それこそ『まさか』よ。部隊長の地位には興味あるけど、当人は融通の利かない頑固頭で仕事馬鹿だし——ってうわ!!」
つらつらと悪口を語っていたので、道郎からナイフを投げられたかと思ったが、鈴音の足元目がけて飛んできたのは、一筋の光線だった。
ドット柄の床が綺麗に焦げ、少しでも早く足を避けていなければ、義足で生活するハメになっていただろう。
「ずいぶんと、道郎を悪く言うのね…。いいわ。私が相手してあげる」
NOVAは双剣を構え、鈴音に猛攻を仕掛けた。
(ちょっ、容赦なさすぎ…っ)
八方から襲いくる刃に、日本刀だけで対応するのは、鈴音の技術をもってしても、かなり苦労する。
斬撃のいくつかは鈴音のスーツを擦っていくが、どれも深い傷にはならない。だが、これが続けばいずれは命を失うだろう。
どうにか反撃の隙を見つけ出そうと、鈴音はNOVAの一撃一撃を処理しつつ彼女の動きに注意する。

だが、それに精一杯で鈴音は気づいていなかった。
彼女自身、すでに策にはまっているのだと。

「!」
斬撃を受ける最中、空中に浮遊する光る球体に鈴音は気がついた。
NOVAが攻撃の合間を縫って生み出した、先ほどまでのとは比べ物にならない威力を持つエネルギー弾だ。
「やばっ!」
鈴音は焦りを率直に口にすると同時に、光弾を避けるべく後ろに下がろうとした。
そこで初めて、自分が罠にかかったことを悟る。
鈴音は知らずのうちに、壁際へと追いつめられていたのだ。