複雑・ファジー小説

Re: STORM[番外編①UP!] ( No.118 )
日時: 2015/01/14 00:16
名前: ブラッドオレンジ (ID: 4pf2GfZs)

第六話『VS クライシス(後編)』

鈴音とNOVA、天とレーヴェンツが戦闘を繰り広げる最中、道郎と蕎川も戦闘態勢に入っていた。
だが蕎川は全身から殺気を放つだけで、向かってくるそぶりを見せない。先ほどの攻撃からしておそらく蕎川はサイキックだ。
問題なのはその能力である。
大地が椅子を投げつけたとき、蕎川の足元から飛び出た黒い針。あれこそが能力だろう。
そしてその黒い針は、触れただけで椅子を消してしまった。一筋縄ではいかない能力なのは十二分に伝わった。
しかしあれほどの威力を見せつけた割には、その攻撃を食らったであろう亮二は普通の銃弾と同じ程度の怪我しかしていないように見えた。

「どうやら、私の能力について思考を巡らせているようですね」
「……」
答えはしなかったが、表情に出てしまったのか、はたまた雰囲気だけで感じ取ったのか、蕎川は図星を突けた事に笑いを隠さない。
「お教えしましょうか?」
「いや。それには及ばない」
道郎は弾倉を換え、羽織っていたジャケットを地面に脱ぎ捨てた。
そして蕎川がニヤリと笑ったその隙に、一気に間合いを詰めていった。ジャケットに重りでも仕込んでいたのか、その速さは桁違いだ。

蕎川が行く手を阻もうと黒い針を繰り出してくる。
針は先ほどと同様に床から飛び出している。いや、あれは影だ。
地面が波打ったように見えたのは、蕎川が足元に落としている影が揺れたからだ。
どんな強力な能力にも弱点は付き物だというべきか、その点について解明できたのは得だ。
(しかし——)
銃弾すら避ける事が可能な道郎だったが、あえてその針は避けずに、なるべくダメージの少ない箇所で食らう。
(グッ…! 痛い。が、身体に異常は見られない…)
一か八かの賭けであったが、いい方に転んだので結果オーライである。
これである程度食らっても大丈夫という事が判明し、道郎は猛攻に出る。