複雑・ファジー小説

Re: STORM[1月26日 本編 UP!] ( No.127 )
日時: 2015/01/26 23:17
名前: ブラッドオレンジ (ID: BYbKc4ae)

「なーるほどねぇ」
パラダイス00、屋上階。
そこは自然とふれあうための緑が生い茂る遊園を設けている。
自由に駆け回るも良し、のんびりと日向ぼっこをするも良し。
とにかく癒されたい客層へ向けてのサービスなのである。
しかし、無駄に広いこともあって、そこに一人で立つと妙に寂しい気持ちになる。

そんな場所で待機命令を出された漆原 聖子は、まさしくひとりぼっちで、自身の居るべき場所が見つからずにいた。
彼女は血に支配されている。
彼女の体に流れる血は、人のそれとは少し違うのだった。



空中から脅すようにパラダイス00に向かって機関砲を突きつける一台の攻撃ヘリ。
あれこそ、クライシスが誇る技術の結晶『Cー13』である。
一般に使用されているヘリとは一線を画した大きさからも、その凶暴さが窺える。
側面にはミサイルも装備されており、あんなので吹き飛ばされてはひとたまりも無い。
「あれのため、かぁ」
聖子はCー13をその目で見て、舌舐めずりをした。
今の彼女は恐れから震えているのではない。
言うなれば武者震いというところだろう。

『レッドファング、聞こえるか』
「はいはーい」
インカムから道郎が呼びかけてきた。
物騒な名ではあるが、聖子はそれを気に入っている節がある。
『そこに一台、ヘリがあるだろ?』
「あるある。すっごい攻撃態勢だよ」
いつ発砲してくるかも分からない中で、随分と余裕のある状況説明だ。
しかし、それも当たり前である。聖子からしたらクライシスの攻撃ヘリなど恐るるに足りない。
歯を剥き出しにして威嚇してくる大型犬の方がまだ怖いくらいだ。

『もうわかってると思うが——落とせ』
「ラジャー♪」

インカムを即座に切ると、聖子はヘリの高度より高くジャンプした。