複雑・ファジー小説

Re: STORM[2月14日 本編UP!] ( No.136 )
日時: 2015/02/17 23:42
名前: ブラッドオレンジ (ID: BYbKc4ae)

第一部隊は奥の方にある大きめのスペースに呼ばれ、そこでスキナーの話を聞く事にした。
どうやら呼び出されたのは第一部隊だけではなく、他の部隊のメンツも集まっていた。
だが、任務で出払っているのか、全員が揃っている部隊は第一部隊の他になかった。

「今回集まってもらったのは、昨日の事件に関して我々が調べた事の報告をさせていただくためです。まだ確証の無いの部分もありますが…しかし善は急げと言うので」
「そういうのはいーよ。早く報告」
不機嫌な聖子に話を遮られて、スキナーはすこし困った様な顔をする。
話術を得意とする人間にとって、それを流されるのはキツいところがある。
だが、それでもスキナーは調子を崩さず話を続けた。
「では、報告に移らせていただきます」



「まずは昨日殺害された桐島隊員についてです」
話の内容を受け、第一部隊の顔つきが変わる。
「彼は昨日、四階のエスカレーター付近で死体が発見されました。死亡時刻は13時30分頃と推定されています」
その時間帯は、おそらく道郎たちが蕎川たちと戦闘していたところだろう。
「彼は胴に大きな穴をあけられ、出血多量が原因で死に至りました」
「穴?」
誠の口から素直に疑問が漏れだす。
「穴って…、桐島さんが着ていたスーツごとですか?」
「えぇ。そこが重要な点でした」

桐島 蓮助は仮にも戦場に赴く兵士だ。攻撃用だけでなく、防御用の装備も身につけていた。ミサイルの衝撃にも耐えうるような特殊スーツだ。
それに彼は体も鍛えていた。並大抵の攻撃じゃ蓮助を傷つける事は不可能だ。

「そういう能力者、がいるってことか?」
「それも考えました。ですが、原因は違うものと思われます」
スキナーは傍にあった大きな地図を取り出し、鉄製の壁に磁石で張り出した。
今更紙製の地図なんて時代錯誤な事をするのはおかしかったが、スキナーの表情は真剣だ。
「昨日襲撃があったパラダイス00周辺の、昔の様子を再現した地図です。ちょうど、今パラダイス00がある場所に城がありました」
「城?」
「はい。そこの城主であった大名は、自らの日記に周辺の土地で奇妙な石が掘り出されたと記しています。そして彼は、それを城の地下深くに封印したとも」
数人はこの時点で察したが、残りはまだ話が読めていないようで訝しげな表情を浮かべている。

スキナーは続ける。
「この宝物は、同じく大名の手記によれば強大な力を秘めていて、近づく物を焼き殺した——と。大名はこれを暁星岩と名付けました」
それを聞くと、大抵の隊員はスキナーが何を言いたいかを察した。
つまり、クライシスの真の狙いはそれであったと。