複雑・ファジー小説

Re: STORM[オリキャラ募集開始!] ( No.15 )
日時: 2014/11/24 22:55
名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)

第一話 『VS鷹の目』

戦闘が終わると、どこからとも無く数台のトラクターがやってきた。トレーラー部分には大きな『S』のマーク。これは、国際的平和維持兼犯罪阻止機関、『STORM』を示すシンボルマークである。
STORM——それは二十世紀初頭にアメリカで発足した政府公認の組織。初めはアメリカ国内だけの勢力であったが、近頃は世界規模で犯罪が増加しているため、STORMは世界中に合計20の支部を置き、それに対処している。
彼らの存在はもちろん世間も認知している。だが、全てを知っている訳ではない。一般人からすればSTORMはただの軍隊という認識でしかないのだ。
それは不正解でもあるが、正解でもある。そもそもSTORMは、軍隊というほど人数がいるわけではない。各支部ごとに小隊はあるけれど、その全員がそろう事すら稀だ。傭兵の派遣会社と言った方が近い。
そして、秘密はそれだけではない。
STORMに所属する人間は、皆並外れた何かを持っている。それは『超能力』であったり、『戦闘技術』であったり、人でない場合もあり得る。
彼らは少人数であるものの、その戦闘力は軍隊と同等、いやそれ以上である。そういう意味では、彼らを軍隊と呼ぶのも間違っていない。
STORMはそういう人材を積極的に集めているからこそ、今やどの国家よりも大きな戦力を所有している。
それを戦争や個人的な争いに使用しないという条件の下に。

「おつかれさま。道郎君に鈴音ちゃん」
STORM所員による現場の片付けが行われている真っ只中、トレーラーから白衣を羽織った男が出てきた。
ほお骨が角張っていて、丸眼鏡と七三分けの髪がインテリっぽさを表している。
彼は常山 康一(つねやま こういち)。STORMの中でも高い知能指数を誇る研究員である。シャドウフェイスやイオが着用するスーツを作ったのも彼だ。
「いやぁ、見事な戦いっぷりだった。僕の作った装備は無用の長物だったねぇ」
プライドが無いのか、あっさり自分の作り上げた物を貶す常山。しかし、そう言うのも仕方ないほどに役に立っていなかった。そもそも、九十九の攻撃があたる事も無かったので、使われてすらいない。
「道郎君。着心地は如何だったかな?僕の新作スーツ」
シャドウフェイス——結城 道郎(ゆうき みちろう)は上半身にだけ身につけた戦闘スーツをじっと見つめてから、正直な感想を述べた。
「衝撃吸収性があるのはいいけれど、少し動きにくい」
「ははは、こりゃ手厳しい」
困ったように笑うだけの常山。だが、使用した人の正直な意見というのは開発者にとっては貴重である。おそらく、この事をバネにして常山はこれからもっとすごい物を作り上げるだろう。
「鈴音ちゃんは?」
次いで常山はイオ——藍原 鈴音(あいはら すずね)の方を向く。
鈴音は特に何もないと言った様子で首を横に振り、所員から受け取った水を飲み干す。
鈴音のスーツは何度も改良を重ねただけあって、完成に近づいているようだ。
「そうかい。それじゃ、もうそろそろ戻ろうか」