複雑・ファジー小説

Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.33 )
日時: 2014/11/15 18:19
名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)

「準備が完了しました。いつでも転送開始できます」
STORMの研究員の一人が道郎に告げる。道郎は頷くと、隊員たちの顔を見回した。全員準備万端のようなので、早速転送機に乗り込むことにした。
転送機は箱形をしており、最大で七人まで収容できる。五人だと少しスペースがあるくらいで、互いにぶつからぬよう間を空けて中に入り込む。
全員が乗ったのを確認すると、スライド式の扉が閉められ、転送機の中は静寂に包まれた。
外では研究員が壁に取り付けられたレバーに手をかけ、その指示を待っていた。
「よし、やれ」
「はい」
研究員がレバーをゆっくりおろす。
人工の光が第一部隊の面々の体を包み込んでいく。やがて彼らの肉体は、つま先から徐々に消え去っていった。

数秒後には、第一部隊は現場にたどり着いていた。
転送先はSTORMが莫大なデータの保管庫として使っているビルの地下室。待ち構えていたSTORMの制服を着た男たちがやってきて扉を開ける。彼らもまた、この保管庫を守る立派な構成員である。
「現場周辺の封鎖は?」
道郎は転送機から出るなり構成員に聞く。
「はい。すでに完了しています」
驚くほどの迅速な対応だが、それもサイキックの力を使ってのものだ。STORMに所属する超能力者たちの中には、戦闘はせずサポートに徹する者もいる。
「わかった。さっさと終わらせよう」
道郎は足早に外へと向かっていく。残りの隊員も堂々とした足取りでその後をついていく。

『パラダイス00』は幸いにも、ビルから出てすぐ近くにあった。
普段は人で溢れかえる通りは、人類が滅んでしまったのかと思わせるほど閑散としていた。明るい外装の店が建ち並ぶが、それでも場の緊迫した雰囲気は薄まらない。
人がいないのをいいことに野鳥なんかが飛んでくるが、しかし、只ならぬ事態を察してかすぐに離れていってしまう。
パラダイス00の一号館を前に、道郎は装備品の確認を手短にすませ、隊員たちを振り返る。
「キメラ、イオは南方から侵入。クラッシュエースと俺は正面から。内部の地図は後で端末に送るから見ておけ」
「私はー?」
空気を読まず手を挙げる聖子。道郎は慣れているようでそのまま続ける。
「屋上で待機」
「え!?」
「文句は言うなよ」
先に釘を刺され、聖子は言葉に詰まってしまう。悔しそうな顔で渋々了解するが、その後小さな声で愚痴をたれていた。
「では、作戦開始だ。援軍を待つ必要はない。さっさと終わらせるぞ」
隊員たちは指示を受けると即座に行動を開始した。