複雑・ファジー小説
- Re: STORM[オリキャラ募集中] ( No.51 )
- 日時: 2014/11/27 21:52
- 名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)
蓮助の攻撃により店の一角が崩壊してしまったが、しかし敵にあたった様子はない。
蓮助の攻撃はかなり広範囲にまで行き届く。それが効いてないのであれば、先ほど見えたのは幻覚や分身の類いという可能性もある。相手はおそらく能力を持っている。油断は出来ない。
「どこ向いてんのさ」
ふと後ろから声が聞こえてきたので、蓮助は振り向き様に拳を空中に叩き付ける。
「うおっ!」
ちょうど後方にあった柱が崩れ、その向こう側からニット帽を被った青年が姿を現した。
「あちゃー、見つかっちゃったか…」
「何だお前は?」
青年は大胆不敵な笑みを浮かべながら答える。
「僕はクライシスの雇われ兵さ。スティーブって呼んでよ」
どう見ても「スティーブ」とは思えない日本人らしい顔つきだが、ふざけて名乗っているのだろう。
スティーブは黒のジャケットにジーパンという兵士とは思えない格好をしているが、しかしSTORMも人の事は言えない。
中には学校の制服を着て戦う者もいるくらいだ。
「クライシスの身内というならば、捕獲させてもらうぞ」
「そう簡単に捕まえられるかな?」
スティーブは足下の柱の破片を蹴飛ばし、まっすぐに走り出した。
まるで自分から攻撃にあたりにきているようで、蓮助は少し戸惑ったが、今度は直に当てるつもりで拳を放った。
岩の様な蓮助の拳は、確かにスティーブの額をとらえた——はずだった。
「残念ッ」
拳はスティーブの体をすり抜け大きく空振りする。自分が見てるのは幻覚なのかと、蓮助はそう思ったが、懐に入り込んできたスティーブのつま先蹴りは確かに蓮助の顎に当たった。おそらく力はあまりないのか、それほどまでに報えなかった。
幻覚や分身ではない。だとすれば蓮助が単に外しただけだろうか?
それもやはり違う。
「おじさん、デカいから狙いやすいよね」
次に聞こえてきたスティーブの声は、なんと背後からであった。
「ほぅら!」
スティーブは蓮助の背中に蹴りをくわえる。さほど痛くないので、次こそはと思い腕を後方に振るう。
だがそれも空振りに終わった。スティーブは平然とした顔で同じ場所に立っていた。
「クッ…」
「俺にはあたんねーよ」
スティーブは踊る様な軽いステップで後ろへと下がり、蓮助から距離をとった。
何となくだが、蓮助にはスティーブの能力が分かりかけてきた。
おそらくは透過の能力だ。物質をすり抜ける事が出来るのだろう。
しかし、もしその推理が当たってるとしても、それに対処する方法はまだ思いていなかった。