複雑・ファジー小説

Re: STORM[オリキャラ募集中(味方3人 敵3人)] ( No.59 )
日時: 2014/11/29 00:13
名前: ブラッドオレンジ (ID: LTdV0xGg)

第四話 『影の戦士』

三階をクラッシュエースに任せ、道郎は目的地である四階へたどり着いた。
だが妙な事に、誰の姿も見られない。
人質を四階にとっているならばここに人員を割いていてもおかしくはない。
それなのに、下等兵すらいない。下の階では手厚い歓迎を受けたというのに。
(ここではないのか?)
油断は出来ない。相手側にも能力者がうじゃうじゃいる。
何らかの方法でその気配を断っているのかもしれない。それに経験豊富な兵となれば自ら気配を消す事だって容易だ。もちろん道郎にも出来る。
(一体どこへ…?)

この階は主に食事処がメインの階だ。エスカレーターを登り終えたその瞬間から、数々の有名店が立ち並んでいる。
今は人が出払っているので、いても寂しさしか感じられないが、いつもは家族連れが店先に長蛇の列を作っている。それぞれの店が超人気であるため、
この階は抱えている店が一番多い。ここからは道郎の推測であったが、その特徴を利用し、一つ一つの店に人質を小分けにして閉じ込めているのではないかと考えた。
それなら兵が見当たらないのもうなずける。

まず近くのトンカツ屋に入ってみると、店の角からうめき声が聞こえてきた。
どうやら推理は当たったらしい。だが、最初に道郎を出迎えたのは、二、三人の武装したクライシス兵だった。
おそらくは一般の兵だ。やはりここに潜んでいたらしい。
突如として姿を現した彼らだが、道郎はその程度ではうろたえない。
まず先頭に立つ銃を構えた兵の腕を下からナイフで突き上げ、体全体が上へ伸びたところで鳩尾を殴りつける。
そこにうずくまられては邪魔なので、壁際に押しのけ、後ろに構えていた兵を素手で制圧する。
彼らは全員武器を持っていたが、それも道郎の前では活躍の機会さえ与えられなかった。

兵を倒すことに成功した道郎は、奥で縄に縛られていた人質を解放する。
だがすぐにはその場を離れず、待機しているように伝え、彼は店から出ようとした。
「さすがの速さだな」
ふと、入り口に誰かが立っているのを見て道郎は動きを止める。
「もうお前一人でいいんじゃないか?」
「轟木さん」
そこに立っていたのは大地だ。援軍として駆けつけたのだろうが、道郎がすでに仕事を終えていたので手持ち無沙汰に店のメニュー表を眺めていた。
「そんな事はありませんよ。出来れば、第二部隊にも手伝ってほしいです。この他の店にも人質が捕われているはずです。だから——」
「あー、それなら大丈夫」
大地はメニュー表を置いて苦笑いを浮かべる。
「俺らの部隊は優秀だから、すぐに終わらせるよ」