複雑・ファジー小説

Re: STORM[オリキャラ募集中(味方3人 敵2人)] ( No.62 )
日時: 2014/12/05 23:26
名前: ブラッドオレンジ (ID: gE35uJOs)
参照: 12/5に更新

クウゴが兵士を殺すと同時に、店内から紅葉柄の着物を着た男が現れた。
「うひゃー、相変わらず鬼畜な事しちょるなぁ」
転がる兵士の死体を見て、顔をしかめる男。クウゴはほっとけとでも言うようにため息をついた。
「まだ他にもようけ(たくさん)敵が居るけぇ、骨が折れるのぉ」
妙な訛りは慣れたものだが、しかしこのたまに見せる気の抜けた態度はクウゴにとって苦手ではあった。

彼はクウゴと同じ第二部隊のハッピーこと遥伊 空木。
ポジティブで仲間に優しい性格であるが、不幸体質である事が悩みである。
そんな彼がハッピーと呼ばれるにはそれ相当の理由があった。

「…おい、遥伊」
クウゴが珍しく空木の名前を呼ぶ。
それに対し空木は嬉しそうに答えた。
「なんじゃ?」
「後ろ」
クウゴが告げるそれより前に、空木の首筋に冷たい感触が伝わる。空木の顔から、滝のようにどっと汗が吹き出した。
「クウゴ、そういうのはもっと早く…」
空木の言う事は最もであったが、しかしクウゴには彼を助ける義理もないので、責められても知らん顔だった。
後ろで銃を突きつけているのは、一人のクライシス兵だった。
彼の顔にもまた、汗がにじみ出ている。
「大人しくしろ!」
「し、しちょるわ!クウゴ〜、助けてつかぁさい!」
「嫌だ。自分でなんとかしろ」
「そんな!」
泣きを見せる空木だが、クウゴは動く気がないようだ。
「貴様、三秒以内に降参しなければこいつを撃つぞ!!」
「んなっ!?ク、クウゴ〜」
クウゴは助けを求める空木から目をそらして、悠長にも煙草を吸っている。クウゴにはとても煙草が似合うのだが、今の状況ではそれを素直にほめる事は出来ない。
「3…、2…」
兵士は震えた声でカウントダウンを始める。さっきのクウゴとは正反対の真剣さを声に帯びている。
「1…」
やはり、最後の一秒は躊躇したのか、すこし数えるのが遅れた。だが彼も兵士である。引き金は既に半分引かれていた。
空木は、もう喚く事なく覚悟したように黙っていた。諦めたのか、それとも——。
「0」


兵士は引き金を確かに引いた。
「…あ?」
だが、空木が撃たれる事はなかった。
弾詰まりか弾切れか、銃自体が故障したのか。原因がなんであれ、空木にとってそれは『幸運』以外の何者でなく、その隙を見逃さなかった。
「うらぁっ!」
空木は素早く後ろを振り返り銃を奪い、兵士の右足を蹴りで折って跪かせた。
それに次いで、空木はちょうど自分の膝の位置まで来た兵士の顔を蹴り上げる。兵士は大の字になって伸びてしまい、もはや動く様子はない。
「ま、こんなもんじゃろ」
「相変わらず、なんでもアリな能力だな」
少しうらやましそうに呟くクウゴ。
遥伊 空木、彼の能力は幸運ラッキーを引き起こす事である。STORM内では最強の能力ではないかという者もいるが、元々の空木の不幸体質もあってか、彼にその自覚はないようだ。