複雑・ファジー小説

Re: world この世界の為に (1−7) 狼眼の女 ( No.9 )
日時: 2015/06/11 20:15
名前: クエン酸Na (ID: sjVsaouH)


 ハルツが進んだのは裏道だった。

裏道では、ちろちろと妖魔が蠢きチンピラやヤクザが徘徊していたが、二人はそれを気にもとめずに商店街を目指した。



 「・・・ハルツ、どう思う?」

 「は?」

二人は透明の魔法を使っているため、他人には見えないはず。

———後ろから視線を感じるゼ?

ハルツは気付いていないようだが、明らかに見られてる。
…そして、ついて来ている。

女だ。

包帯で全身ぐるぐる巻きの、女だ。


———いい体してんな・・・


ザードは不覚にもそう思ってしまった。

そしてその女というと、なんとも目が美しかった。
黄金。高貴な輝きを秘める、狼の瞳。
ハルツに負けず劣らずの稀有な瞳。

———なんつーか、この女、かなりの手練だな。

ザードがその瞳の輝きから感じたことは、それだけだったようだが。

 「ハルツ、ちょっとこっち来い、…ってぇな!?」

近寄ると叩かれた。

 「この期に及んでロリコンは貫き通すのか!!
    少しは恥を知れこのロリコン!!!!!!!!」

 「ざけんなっ!お、れ、は!巨乳でボンキュッボンな色っぺー女が好みなんだよ!!!」

 「ならば!!今の行動は何なんだ!!!」

 「それは・・・!!」


 また、二人は言い合いになってしまった。
だが、女はそれを終わるまでずっと見続けていたのだった。

———ロリコンじゃなくて女好きだよッ!
      ・・・・・・ん??

最初に話が逸れていることに気づいたのはザードだった。

そして、ザードはすぐに説明をしてそれから喚くハルツを抱えて走り始めた。
迷路のような街を利用して、ずっと付いて来ていた女を撒くために。




 「お!!いなくなったゼ。」

結局、目的地の商店街に着くまでに撒くことができて二人は魔法を解き、買い出しに向かったのだった。

続く。