複雑・ファジー小説

Re: 聖なる化け物の祝杯 ( No.16 )
日時: 2014/12/23 12:30
名前: 星ノ砂 (ID: H6fMjRQF)

◇第九話


「学園に楽しみがたりない」

僕たちはメヤルナの森から帰り、帰宅時間ギリギリセーフで寮に滑り込んだ。寮長にはしっかり怒られた。そもそもダンジョンなんて、授業終わりに学園生が行くところではないのだ。

アルマーシュには様々な人種が集まるため、当然のごとく宗教や文化の関係で夕食をとる時間が異なる。各自で用意して食べることになっていた。
スクルファーズがそう言い出したのは、僕が調理室で自分の夕食を作り始めたときだった。

「文化祭はまだ先だしなぁ」
「なにいってるんです、その前にテス——」
「そのあとに、母音がO、子音がTの文字が続くなら、俺はこの会話をやめる!!」
「———トがあるじゃないですか」
「あああああ!」

会話がとまるなら本望だ。

もうすぐでテストだ。筆記と実技にわかれる。それの点数次第で長期休みの補修ありなしが決まるので、おそらく学生が最も勉学に励む時期だと思う。
ワークブックやらを買い求めるため、学園側も稼ぎ時。・・・という、社会の闇が見え隠れする期間でもあるのだ。

僕はできあがった料理をスクルファーズの前においた。ちなみに南米のほうの民族料理。
スクルファーズはありえないものを見るような目で僕を見る。

「くれるの? てっきりくれないかと思ってた」
「ああ・・・この料理作るのははじめてなので、毒味として」
「今、悪意ある言葉が聞こえたんだが」
「このソースをかけるとおいしいらしいですよ」
「めっちゃいい笑顔で無視された!」


 ・*・*・*・


僕は僕とスクルファーズの部屋への分かれ道で、口を開いた。

「五八番殿。さっきの食事代、試食という形で、三割引にしてあげます」
「金とるんだ・・・」

僕は指をつかって三を現した。
三割引、というだけで感謝しなさい。

自分の部屋へ行こうとしたところで、スクルファーズがふと思い出したように声をかけた。
しかしそこで始まった話は、まるで想像もつかないものだった・・・。