複雑・ファジー小説
- Re: 聖なる化け物の祝杯 ( No.24 )
- 日時: 2015/01/05 21:03
- 名前: 星ノ砂 (ID: H6fMjRQF)
◇第十二話
なめてた。
あの学園長にしてこの学園あり、だな! 競技場と観客席の高さ、半端じゃない。とっさに受け身を取ったが、肩を打っちまった
『ハニー・レアニーズ、スクルファーズ=ローカンの戦闘が始まります。両者とも位置についてください』
司会者の声が鳴り響き、俺は痛む肩を支えながらふらふらと立つ。これじゃぁ全力を出すのは難しいかもしれない。
まあ、俺が全力を出したら———
『・・・開始!』
———死ぬけどな。
手加減をする手間が減るぶんだけ、この怪我は都合いいかも。まわりには苦しんでいるようにしか見えないかもしれないが。
魔法と一緒で、力を押さえるのは大変なんですよ。皆さんご存じ?
そんなことを考えていると、俺の相手の女が早速剣を構えつつ、こちらに走ってきた。
それにしても立派な剣だ。女でも武術を知っているとは、やはり貴族の娘だろうか?
最近は護身術として生まれたのが娘でも剣を習わせる家があるそうだし。
俺は動かず、間近までそれを引きつけてよける。
当然のごとく女は勢いで転んだ。
「バッキューン。はい、即死。相手に背中見せるなって、先生に教わらなかった?」
彼女は顔から転んだので、俺に、すなわち敵に背中を見せている。
ここで即死クラスの攻撃を打ち込んだらおわりだ。
・・・ちなみに、背中をやられるとマジでやばい。視覚にはいらんからな。
「うっ、うるさいわね! やぁ!」
かけ声と共に突き出された剣をよけ、相手の脳天を剣の柄はたいた。俺の腹部ががらあきになる攻撃方法だが、この学園の生徒相手には警戒することもないだろう。
ハニーの数字が少し減った。
痛みにもだえている間にもう一発。
「いっつぅ・・・」
もう一度。
「ちょっと、あんた。私は誇り高いレアニーズ家の——痛い!」
・・・もう一発。
「し、賞だって取ってるん———いったい!」
・・・。
これは・・・
「おもしれぇー!」
「ひどいわねあなた! 生徒達を救った英雄だから、わざわざ来てやったのに!!」
反応がおもしろいので素直に言うと、見た目通り気の高いハニーからすぐに反撃がくる。
その言葉の中に気になる単語が。
「・・・英雄だから、『わざわざ』来てやった?」
「はっ!」
ハニーは顔を赤く染め、恥ずかしいことを言った口を押さえた。
・・・やっぱおもしれぇ。
「リア充め! 非リア充のこともちったあ考えやがれっ」
「ハニー様の赤面を間近拝むだと? 庶民のくせに生意気なー!」
「ハニー・レアニーズね・・・ライバルとして顔を覚えておきましょう」
「ですね、姉様。わたくし、攻撃魔法がいつでも打てる状態で、あとでご挨拶してきますわ」
観客席から声が聞こえてくる。
前半は男子、後半は女子ってとこだろう。男子はともかく、女子コエェ・・・。
もうすこし遊んでいたいところなのだが、一試合が五分ほどだし、そろそろ終わりにしなければならない。
このあとも俺には対戦相手がいるんだ。
「んじゃあ、ハニー。またな」
俺はナイフを持ち直し、歯をハニーの方へむけた。
ナイフを高々と掲げ、ハニーめがけて一気に振り下ろす。
ハニーの数字が、0になった。
===以下作者文===
あけましておめでとうございます(遅い)
メヤルナの森の時といい、今回といい、戦闘シーンが少なくてすみません。
次にはなんとか入ってくる予定です。
あと、戦闘ゲーム中はこんなんでも戦ってるんで、ネタやギャグが少なめです。
このあとに番外編で好き勝ってやります。ええ、やりますとも。いまもやってますけど。
いつも見てくださっている方、読んでくださりありがとうございます。