複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.103 )
- 日時: 2015/02/08 13:27
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ハニーから剛力と別れる話を聞いて、真っ先に口を開いたのは博士であった。
「剛力君と言えば、確かきみのボーイフレンドだったはず。一体どうして仲がいいと聞かされていたのに別れる事にするのかね」
博士の問いに、先の展開を考えていなかったハニーは、やぶれかぶれになり泣きだしたかと思うと、席を立って自分の部屋まで駆けだした。急いで部屋に入り、カギを閉める。そしてベッドにダイブしたかと思うと、泣きだしてしまった。
「あんな嘘つかない方がよかったよぉ。でも、本当の事をみんなに言ったら……」
彼女は、みんなにぐるりと囲まれ責められている光景を想像する。
『失望したよ』
『最低ですね』
『ハニーさんはバカだね』
『兄弟の縁を切る!』
博士、フレンチ、ヨハネス、カイザーの順に責められた彼女は、最後に絶対に人を責めないはずのアップルに、涙目でこんな事を言われた。
『信じていたのに……』
皆の想像上の言葉が胸に槍のように突き刺さった彼女は、心の底から後悔した。
しかし、おならをした事を誤魔化すために敢えて嘘をつきましたなどと、発言するのは大勢の人に囲まれると引っ込み思案になりがちなハニーには、そんな勇気はなかった。よく考えてみれば、これほど恥ずかしい真実を人前で打ち明ける事自体が大変な苦行なのであるが、自分を責めているハニーはそんな事など考えている余裕もなかった。彼女は泣き崩れ、枕を涙で濡らす。
「私、一体どうしたらいいんだろう……」
後悔と悲しみでそう呟いたその時、大鎌を持ち、髑髏のネックレス、黒のマントにコート、黒いロングブーツ姿の見るからに怪しい男性が彼女の前に現れた。
「あなたは?」
「私は闇野髑髏。きみの心に光を灯しにきたよ」
彼はハニーのベッドに腰かけ優しく口を開いた。
「ハニー、何も心配する事はない。おならは誰でもするし、嘘だってつく。それは宇宙人でも人間でも変わりがない。そして過ぎてしまった事に囚われてしまっては、せっかくの時間がもったいないとは思わないかな?」
髑髏の問いかけに、ハニーは涙を拭いて笑顔を浮かべた。
「そうだね。そうかも知れないっ、これからあまりくよくよしないようにするね。ありがとう、髑髏さん♪」
彼女は彼をぎゅっと抱きしめる。すると彼は頭を撫でて、
「いい子だね、ハニー。さぁ、みんなの元へ行っておいで」
「うんっ」
ハニーが頷いて、部屋を出た後、彼はフッと消えてしまった。彼がどこへ行ったのかは誰にも知らない謎である。
博士の家で楽しく過ごした後店に帰ったカイザーは、店の乗っ取り計画を実行に移そうとしていたトミーに怒りの鉄拳を見舞い、懲らしめた。