複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.106 )
日時: 2015/02/09 13:47
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

将軍は、カニクリームコロッケが大好物であった。
彼は好物を買いに、家の近くを通る電車に乗って、行きつけのスーパーに向かう。

「あのクリームの味わいが実に美味な私の好物は、売り切れていないだろうか」

彼は内心ワクワクしながら、惣菜コーナーに一直線に走り、目的の品の有無を確認する。幸いな事に彼の好物は、一パックだけ残っていた。彼がホッと安堵し、買い物かごに手を伸ばしたその時、まるでカルタのように何者かの手が彼よりも先にパックを掴んだ。彼が驚愕し、その人物を見てみると、それは彼の宿敵であるジャドウ=グレイであった。

「ジャドウ、貴様……私の好物を強奪しようというのか!」
「フフフフ、生憎ここのカニクリームコロッケは俺も大好物なのでな……実に絶品だ」

彼は何の躊躇いもなく、自分の買い物かごにパックを入れる。当然の事ながら、将軍がそれを見逃すはずもなく、腰の愛剣を引き抜き、彼の喉元に突きつける。

「それを今すぐ私に寄こせ」
「断る」
「命が惜しくないのか?」
「フフフフ……俺に脅しが無駄だと言う事を、コロッケ欲しさに冷静さを失い、忘れてしまったようだな」

彼は素早くサーベルを引き抜き、彼に一太刀を浴びせる。その威力に、将軍は怯むが、闘志は燃え尽きてはいなかった。

「私はこの程度の斬撃で倒せるほど、甘い相手ではないぞ」
「そんな事は分かっている。さて……どうする?この俺とこのコロッケを賭けて刀を交えるか、それとも諦めて帰るか」
「決まっている!私は貴様から愛するカニクリームコロッケを奪還してみせるっ」

こうして、ふたりのコロッケを巡る(大人げない)闘いが始まった。