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複雑・ファジー小説
- Re: シナフレ ( No.25 )
- 日時: 2014/12/13 20:26
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
博士たちはその後ホテルに行き、部屋に荷物を置いて、夕食を取りに行く事にした。夕食はバイキング形式で、あろうことかフレンチの大好物である鳥肉料理と大嫌いな豚肉料理が数多く並べられてあった。
「なんだか、複雑な気持ちになります」
彼は苦笑いをしながら、大好物の鶏肉料理にパン類、そして苺ジャムを取る。彼はジャムの名産国であるオーストリアの出身だけあって、ジャム作りは得意中の得意で、その腕前はプロ顔負けものだった。以前、中学の文化祭で作った特製の苺ジャムをかけたフレンチチーストを販売すると、わずか十分で完売してしまったと言う伝説を作った事がある。彼はバターナイフを使い、丁寧に苺のジャムを塗ったパンを一口かじり、
「僕の作るジャムには到底及びませんね」
すると背後の席で、クスクスと笑う声がしたので、彼はその声にムッとして振り向かずに言った。
「何がおかしいんですか、後ろの人」
「ごめんごめん。やっぱりきみはジャムにうるさいんだなぁと思って」
少し高い少年の声を聞いた彼はピクリと耳を反応させて、横目でその人物をキッと鋭く睨んだ。普段の爽やかな彼の姿からは想像もできないほどの殺気を放っている事から、背後の少年とは余程の因縁があると、シナモン博士は考えた。
フレンチはいつもより僅かながら低いトーンの声で呟いた。
「なぜ——きみが、ここにいるんです?ヨハネス=シュークリーム君」
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