複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.43 )
- 日時: 2014/12/14 20:07
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
翌日の早朝、すっかり風邪も治り元気になったフレンチは、朝の新鮮で美味しい空気を浴びようと、ホテルの外をランニングしようと考えた。
時刻は午前六時、後一時間で朝食であるが、博士たちは昨日夜更かししてテレビを見たりお菓子を食べて雑談していたため、まだ起きてこない。
「全く、彼らには毎度のことながら呆れてしまいますね」
昨日、彼はコッペパンを食べている姿を爆笑された事もあってか、そう毒を吐いて、博士が起きて来ないように細心の注意を払いながら、パジャマから、ノースリーブ、半ズボンにスニーカーといういかにも夏らしい恰好に着替えると外に出た。
「ん〜、やっぱり朝の空気は気持ちがいいですねぇ」
冷たい朝の空気を思いっきり吸い込んで、タッタッタと軽快な足音を立ててランニングをしていると、とある人物に出くわしてしまった。
その人物を見た瞬間、彼の全身から一気に血の気が引き、鳥肌が立つ。彼が出くわした人物——それは、茶色の長髪、猛禽類のように殺気だった瞳、端正ながらも般若のように恐ろしい形相、百九十センチを超える長身に引き締まった体つきの半裸と明細色のズボンが特徴の若い男。フレンチがこれらの特徴から導き出される人物はひとりしかいない。スターレスリングジムにおいて最強の実力を誇る三人の師匠クラスの人物にして、彼の師匠でもある明王こと不動仁王(ふどうにおう)だった。
「フレンチ、久しぶりだな」
彼は凍てつくような凶悪顔で彼を睨み、片頬だけを上げてニヒルな笑みを浮かべた。
「そ…そうですね、不動さん。で、でも、どうしてあなたがこ、こんなところに……?」
フレンチはあまりに突然の彼の登場に、瞳孔は見開き、ひきつった笑みで、冷や汗を流し、足はまるで生まれたての小鹿のようにガクガクと震えていた。
「そうびくつくな。俺が来た理由はゲスト出演……じゃなかった、八つ当たりだ」
「はいっ!?」
彼の意味不明な回答に、彼は思わず聞き返した。すると彼はその瞳の殺気を更に強め、
「俺はついさっき、故郷のエデン星ではらわたが煮えくり返るほどイライラする事があった。だからその不満のはけ口として、この地球に八つ当たりしに来た」
「なんですか、そのはた迷惑な回答は!?」
「黙れ。俺はとにかく、お前を往生させて殺(や)るッ!」
彼は剛腕を振り上げ拳で地面を殴ると、コンクリートの地面にバリバリと亀裂が走り、巨大なクレーターを形成した。