複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.48 )
日時: 2014/12/17 21:07
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「そこまでです」

不意に、先ほどまで静観していたヨハネスが現れた。そして不動の方を向くとゆっくりと口を開いた。

「あなたは、本物の不動さんじゃありませんね」

彼の予想だにしなかった一言に、三人は驚愕する。

「どうしてそう思う?」

不動が訊ねると、ヨハネスはニコッと微笑み、

「まずひとつ、不動さんが苛立ったからという理由で弟子であるフレンチ君に八つ当たりをする訳がありません。ふたつ、不動さんは短気ですけれど、地球に自分の我儘で危害を加えるような人ではありません。三つ、あなたは不動さんにしてはやや矛盾した口調が多い。そして最後の四つ目……影が不動さんじゃない!」

ヨハネスの指さした不動の影を見てみると、それは不動とは違った影であった。

「もう正体を現したらどうですか……スターレスリングジム師匠クラスがひとり、ジャドウさん」
「フフフフフ、さすがはヨハネスと言ったところか、実に天晴れ」

その声と共に彼が煙に包まれる。煙が消えるとそこに立っていたのは、白のオールバックに白い軍服に身を包み、腰に鞘に納めたサーベルを差した長身の男性であった。正体を知ったフレンチは彼に噛みつく。

「ジャ、ジャドウさん!?どうしてこんな事をしたんですか」
「暇だったからな」
「あなたはいつでも最低な方ですねっ!」
「最低は俺にとって最高の褒め言葉でな。まあ、俺の大規模なドッキリのためにホテルに迷惑をかけたのだから、それなりに詫びをするとしよう」

彼が指を鳴らすと、彼が大穴を開けた箇所は瞬く間に修復していった。

「では、さらばだ。フフフフフ……」
「ちょっと、無責任な逃げ方しないでくださいっ!」

フレンチが引き止めるよりも早く、彼は灰色のエネルギー体になって大空へと舞い上がり、アッと言う間に見えなくなってしまった。

「とんだゲスト出演、ご苦労様でした」

彼はジャドウが消えていった大空へ向かって、ポツリと呟いた。