複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.49 )
日時: 2014/12/18 20:23
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

おかしな騒動の後、博士は昨日と同じく海に行こうと言った。もちろん皆賛成し、今度はフレンチを入れての四人で海水浴を楽しむことになった。しかし、彼らが昨日来たビーチに行ってみると、人が全くいなかった。

「昨日はあんなに人がいたのにどうしたんでしょう?」

ヨハネスが不思議そうにキョロキョロあたりを見渡して、ある事に気が付いた。

「みなさん、アレを見てください!」

彼が指さした方向を見てみると、そこには百人を超える人だかりが何かを囲むようにして集まっていた。すると、その集団から目がくらむほどの輝きを放つ何者かが現れた。
太陽の影響もあってか、あまりにも光り輝くそれは、ゆっくりとヨハネスたちに向かって歩き出した。謎の人物から放たれる光のあまりの眩しさに、彼らはおちおち目を開ける事もできないでいる。

「ヨハネス君?それに、フレンチ君にハニーさんも、久しぶりだね」

まるで天使の声と言うほど凛と澄んだ美しいボーイソプラノの声が彼らの名を呼んだ。声の主はどうやら、彼らの知り合いらしい。次第に目が慣れてきたヨハネスたちは、徐々に光の中にいる人物の姿を見る事ができた。
それは、太陽にあたりキラキラと輝く糸のように細く柔らかい金髪のおかっぱの髪、コバルトブルーの切れ長の瞳に少女のようにカールした見事な逆さまつ毛、すっと整った鼻にリンゴのような頬——ヨハネスやフレンチが霞んで見えるほどの愛くるしい容姿の少年だった。その別次元の愛くるしさ、美しさに博士は声も出ず、これ以上ないほど大きく目を見開き、彼を見つめている。

「きみは——人間かね?」

少年はコクリと頷き、彼に微笑みかける。彼の嘘偽りのない心からの喜びの笑みを見た博士は、自分の今まで抱いていた変態な欲望の全てが浄化されていくように感じた。

「僕はアップル=ガブリエルと言います。ヨハネス君の親友です」