複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.5 )
日時: 2014/12/14 18:40
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「可愛い可愛い」
「……」
「可愛い可愛い」
「……」
「可愛い可愛い」
「……」
「可愛い可愛い」
「何回言うつもりなんですか?」

フレンチは現在少しイラッと来ていた。なぜなら、博士が彼を抱きしめて「可愛い」を連発しながら頭を撫でているからである。
彼は自分が美形なのは認めていたし、可愛いや綺麗だと言われるのも慣れていたけれど、頭を撫でられるのだけは慣れていなかったようで、これには普段冷静沈着なフレンチも少しイラッとしたのか、少しきつめの口調で言った。彼の言葉から、博士は彼があまりいい思いをしていない事を感じとり、彼から離れてソファに腰かけた。フレンチは、自分にとっての恐怖同然の抱擁から解放されたので、深く深呼吸をして、平静を保つ事にした。彼から少し距離を置きつつ、フレンチは自分もふかふかのソファに腰かけた。
それは一度腰かけただけで、先ほどの怒りが吹き飛び、その心地よさからか眠くなるほどの高級ソファだった。彼は先ほどとはうって変わって、まるで猫のような愛くるしい笑みを浮かべ、

「僕、もうこのソファから離れたくありません……」

次第に彼の瞼が閉じはじめ、彼は完全に眠ってしまった。彼が眠ったのを確認した博士は、ニヤリと不敵な笑った。それは、すやすやと静かな寝息を立てて寝ているフレンチにとって、恐ろしい魔の手が襲い掛かる前兆である事を彼は知るはずもなかった。