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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.53 )
- 日時: 2014/12/21 19:48
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「ヨハネス君、全メニューはさすがに多いと思うんだけど……」
博士が彼の注文をやめさせようと説得を試みると、彼は顎に手を当てて思案し、
「それじゃあ、沖縄料理二十品にします」
「うん、それがいいね」
博士は少し冷や汗を流して答えた。さすがにあの食べっぷりを何度も見ては食欲が落ちてしまうと思っていたのだ。ハニーはフレンチと同じ沖縄そばを注文する事に決め、博士はソーメンチャンプルーが食べたいと言った。まだメニューが決まっていないのは、店に入ってから一言も口を聞いていないアップルだけになった。
「アップル君、きみは何が食べたいの?」
ヨハネスが訊ねると、彼はメニュー表を見て眉を八の字にして考え込んでいるようだった。
「ゆっくり時間をかけていいからね。時間はたっぷりあるから」
飛行機は午後五時に出発するため、まだ十分すぎるほどの時間があった。彼は暫く、悩んでいるようだったが、ついにメニューが決まったらしく、口を開いた。
「僕、これが食べたいな」
彼が選んだ料理はアグー豚を使ったトンカツ定食だった。
彼の選んだメニューにフレンチは青ざめていたが、何はともあれ全員が注文するメニューを決めたので、博士は早速従業員を呼んでメニューを注文した。
そして料理が運ばれてきて、みんな美味しそうに食べ始めたが、なぜだかアップルだけが料理に口をつけようとしない。
一体何があったのかとヨハネスが彼の顔を覗き込むと、彼は思わず息を飲んだ。
なぜなら、アップルの瞳から一筋の涙が流れ落ちたからだ。
その涙は彼の頬を伝い、テーブルに落ちる瞬間になんと、美しく光り輝くクリスタルに変化した。
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