複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.55 )
- 日時: 2014/12/21 20:07
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「鶏肉が大好きなだけに弱虫(チキン)野郎ですって!?」
フレンチは擬人化したトンカツの言った言葉に激高し、彼渾身のギャグで返したが、トンカツはウンともスンとも言わなくなってしまった。
何が起きたんだろうと見てみると、アップルが起こした奇跡の効果は消えており、今はただのトンカツになっていた。
するとアップルがすまなそうな顔で、
「ごめんね。本当はもっと豚肉くんの本音を聞いてみたかったんだけど、僕お腹空いちゃって……食べてもいいかな?」
「いいよ。だってきみの注文した料理だもの」
左隣にいたヨハネスが口添えすると、彼は嬉しそうにトンカツを食べ始めた。
「豚肉くんだって、元は生きていたんだよ。彼の捧げてくれた命を僕たちは食べて生きているんだ。感謝するのは当たり前だよね」
「いいこと言うね、アップル君」
博士が彼を誉めると、彼は首を振って、
「僕は当たり前の事を言っただけです」
そう言いつつも、彼は少し頬を赤らめて照れていた。その様子をフレンチは隣で少し不満げと言った表情で眺めていた。
『そういえば、博士は最近僕の事を褒めてくれないような気がする。ハニーさんやヨハネス君やアップル君は褒めてくれるのに、どうして僕だけ褒めてくれないんだろう』
彼は少し憂いを帯びた表情で博士を見つめた。すると博士は彼の気持ちに気づいたのか、口を開いた。
「フレンチ君、最近寝不足かね。なんだか眠たそうな表情しているけど」
「あなたは、僕が言いたい事を見抜けないんですか」
「ハハハハハハハ!何を言い出すかと思えば、そんなことかね。そんなのはとっくの昔に見抜いているよ。きみが瞳を通して私に伝えたい感情、それは……『私の事を愛してる』だろう?それ以外の事をきみが考えているとは思えないからね」
彼はいつものように瞳に冷酷な光を宿し、天使の微笑みを浮かべ、思いっきり博士の頬を張った。
「全く、あなたはどれだけ変態だったら気が済むんですか!」
「すみません……」