複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.56 )
- 日時: 2014/12/21 21:28
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
アホ毛、それは頭部から一本まるで触角のように飛び出した髪の毛の事である。
そして、ここにもアホ毛を持つ少年がいた。彼の名は、アップル=ガブリエル。
彼は金髪の長く見事にカールしたアホ毛を生やしていた。このアホ毛と言う毛は、漫画などでは時に凶器としても使用される事があるという摩訶不思議な髪の毛である。ちなみに、この小説に登場している人物の中でアホ毛を生やしているのは現在彼ひとりであるため、とてもよく目立つ。
彼のアホ毛は一体どのような用途で使われているのだろうか、博士をひっぱたいた後、フレンチにとって、それが気がかりで仕方がなかった。
『アホ毛が生えていると言う事は、彼はもしかするとアホの子なのかも知れませんね』
そんな仮説をたて、彼がフレンチの苦手としているトンカツを食べ終わるまで待つことにした。アップルが食べ終わったのを確認すると、フレンチは早速アホ毛について訊ねて見た。
「きみのアホ毛って何か意味があるの?」
この質問に、彼はおかしかったのだろうか、愛くるしい顔でクスクスと微笑む。
「引っ張ってみれば分かるよ」
彼がそう言ったのでフレンチは立ちあがり、彼のアホ毛を引っ張ってみた。
すると次の瞬間、彼の両の瞳から金色の光線が放たれ、食べかけのヨハネスの皿の料理に直撃した。しかしながら見た目にはなんの変化もない。どうやらこの光線には殺傷能力はない事が判明した。
フレンチが驚いてアホ毛から手を離すと、彼の瞳から金色の光が消え、綺麗なコバルトブルーの色の瞳に戻る。そしてアップルはヨハネスに言った。
「食べてみてごらん」
ヨハネスはその言葉に何のためらいもなく食べてみる。すると、
「おいし〜い!」
彼は瞳を輝かせ柔らかいもち肌を両手で押さえて歓喜の声を上げた。
その様子を見た彼は、
「僕の瞳から発射される光線には、食べ物の美味しさを最大限に引き出す効果があるんだよ」
『一種の調味料みたいなもんですね』
フレンチは破壊光線でも放たれたかと思いヒヤヒヤしていたので、ホッと胸をなで下ろし再び席に着いた。