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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.62 )
- 日時: 2015/02/13 21:31
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「おっと、そろそろ待ち合わせの時間だ」
ハニーと会話をしていた剛力は時計を確認すると立ち上がり、
「お嬢さん、楽しい時間をありがとうございます。そうだ、これは噂で聞いたんだが、お嬢さんたちを闇野髑髏と言う男が探しているらしい。何かあるかも知れないから、警戒しておくといいだろう」
彼はハニーと握手をして、会計を済ませた後、ゆっくりと空港の玄関口まで歩いていく。彼女は慌てて彼の後を追いかけ、声をかけた。
「待って、剛力君!」
「……お嬢さん」
「また会える?」
ハニーは瞳に涙を浮かべ、彼に訊ねる。すると彼は彼女に近づいていき、彼女の背中をポンッと押して、
「また会える事を祈っていますよ、お嬢さん。それじゃあ」
キザなセリフを吐いて、白いスーツを太陽の光で輝かせながら、彼は振り向かずに歩き続ける。
「剛力君……剛力君!」
出入り口の近くにある水槽をアップルが見ていたが、彼女は気づいていなかった。今の彼女の瞳に映っているのは去って行く彼氏の姿だけだ。彼女はわき目もふらずに彼を全力疾走で追いかけるが、それよりも早く自動ドアは閉まり、彼は前に停車していたタクシーに乗って、どこかへと行ってしまった。次第に遠くへ行ってしまうタクシーを眺めながら、彼女は心の中でまた会えるようにと祈っていた。
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