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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.66 )
- 日時: 2015/01/11 15:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「あーんっ、美味し〜っ!」
ヨハネスは住宅街にある唯一のスーパーで肉まんを買って食べていた。
彼の家はかなりの金持ちであり、小遣いも相当に貰っていたが、彼はその小遣いの九十五%以上を全て食べ物に費やしていた。
この小説をここまで読んできた読者ならわかるだろうが、念のためにもう一度説明しておくと、彼はいくら食べても太らない体質の持ち主である。したがって、彼は太る心配がない。恐らくそこらへんが彼が女子から怨みを買っている理由のひとつなのだろう。
彼が美味しそうに最後の肉まんのひとかけらを口へ放り込んだ時、フラフラとした足取りで向こうから誰かがやってくる。好奇心旺盛なヨハネスは、いつも携帯している虫眼鏡を取り出して走ってその人物に接近していく。
黒い軍服に憂いを帯びた悲しげな顔、立派な口ひげを生やした中年男性——彼こそ、戦隊番組でヒーローと幾度も死闘を繰り広げた名悪役ジュバルツ=ブラックロー将軍だったのだが、普段テレビを見ないヨハネスが知るはずもなく、空腹でフラフラしている人と勘違いし、取りあえずスーパーから一番近い住宅で、彼の親友であるアップルのリンゴの形をした可愛らしい家に、四苦八苦しながらも彼を運び込んだ。
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