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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.69 )
- 日時: 2015/01/16 11:53
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
将軍はヨハネスの買ってきた肉まんをがつがつと貪り食べ、大きなげっぷをひとつすると、
「実に美味であった。感謝するぞ、ヨハネスにアップルとやら」
「それにしても、将軍さんは、どうしてこんな田舎の住宅街なんかにやって来たんですか?」
彼が訊ねたので、彼はどうして自分がここに来たのかをありのままに打ち明けた。それを聞いたアップルは大粒の涙を流して号泣する。頬を伝って落ちた涙が今度はクリスタルではなく、アクアマリンになった。
「僕の涙は感動や悲しみの度合いによって変化する宝石の色が変わるんだよ」
「そうなんだ……」
ヨハネスは冷や汗を流し答えるが、アップルの起こした奇跡を初めて目の当たりにした将軍は驚きを隠せなかった。彼は大きなアクアマリンを拾い上げ、それをしげしげと見つめ、
「信じられん。これは本物だ。まさかこの世に宝石の涙を流す事ができる人間がいたとは……やはり、事実は小説より奇なりという諺は間違ってはいないようだ」
感心したような表情の将軍を見たヨハネスは彼に口を開く。
「このことは誰にも話さないでくださいね。彼を狙う人が出てきたら困りますので」
ヨハネスが念を押すと、彼は真剣な瞳で頷き、
「きみたちには助けられた恩がある。私は悪役を演じ続けて長い事になるが、約束を破る外道になった覚えはない。きみたちが困ると言うのであれば、このことは一切口外しないでおこう」
彼の悪役とは思えぬ威厳と貫禄、そして誇りに満ちた態度に、どんな番組かを知らないヨハネスも、少なからず彼に対して敬意を払わなければならないと感じた。
その頃博士たちは一体何をしていたのだろうか。それが分かるのは次回のお楽しみだ。
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