複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.71 )
日時: 2015/01/16 19:39
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

翌日、ハニーはお菓子の本を前に悩んでいた。

「何作ろうかなぁ?博士とフレンチ君はどんなお菓子を作ったら喜んでくれるんだろう」

彼女は色々考えては見たが、舌の肥えた彼らを満足させることは容易ではない。
ハニーは一生懸命に考えた末、少し反則気味な手を使う事にした。
彼女の義理の兄であるカイザー=ブレットは、スターレスリングジムの副会長にしてパン職人をしている男だ。今は故郷であるエデン星で『カイザーのパン屋さんエデン支店』を経営している。
彼の作るパンの美味さは地球人の作るパンとは文字通り次元が違い、神の惑星であるエデン星でも大人気なのだ。彼が味方になってくれるのであれば、これほど心強いことはないとばかりにハニーは期待を込めて、宇宙電話で彼の店に電話をかけた。

「もしもし、カイザー兄さん?」
「ハニー、久しぶりだな。地球の暮らしはどうだ?」
「とっても楽しいよ♪」
「それはよかった。私は地球にいるお前が心配で、なかなか寝付けなかったから、これを聞いて安心したよ」
「ところで兄さん、お願いがあるんだけど……」

彼女は兄に、フレンチの代わりにおやつを作ることを約束した話をした。すると彼は、

「本当に辛いが兄さんは今、店を開ける事が出来ない。店の前でお客さんが五時間も待っているのだ。大勢のお客さんの心を裏切るわけにはいかない。いい子のハニーなら、兄さんの気持ちが分かるはずだ」
「……うん、分かった。他を当たってみるね」
「すまない。私の可愛い妹よ」

ここで電話は切れた。彼女は少しため息をつくと外へ出て、最後の頼みの綱であるアップルの家へと向かった。