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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.74 )
- 日時: 2015/01/17 09:23
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
博士とフレンチは隣り合う足を革ベルトで固定して、二人三脚を開始した。ところが、ふたりはまったく息が合わず、何度も転倒する。
「博士、もう少しスピードを上げてもらえると、僕も息を合わせやすいんですが」
「……」
フレンチが呼びかけても、彼は返事をしようとしない。恍惚な顔で鼻の下を伸ばしているだけだ。それもそのはず、彼は今フレンチと密着している状態なのだから、彼の反応は当然と言えば当然のものであった。
彼は額に手を当てて、この状況をどうやって打破しようかと必死で策を巡らせる。このまま息が合わないまま続けても効率が悪い上に、下手をすると博士がより運動嫌いになってしまうと踏んだ彼は、一旦立ち止まって、彼に話しかけた。
「僕と肩を組んで走ることができて嬉しいですか?」
「私は夢を見ているのだろうか。あの毒舌のフレンチ君が二人三脚をしようと言い出すなんて夢に違いない」
その余計なひと言に内心ムッとした彼は、博士に夢でない事を確かめさせるために彼の右頬を思いっきりつねった。
「滅茶苦茶痛いね、夢じゃない」
「当たり前ですよ。さあ、一緒に走りましょう!」
「わかったよ、フレンチ君!」
その十秒後にふたりは誰かが放り投げたバナナの皮で転倒することになるとは、この時夢にも思っていなかった。
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