複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.82 )
- 日時: 2015/01/25 12:11
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「闘い始めて二時間半になるが、決着がつかんとは、さすがは運転免許を持っていないジュバルツだけのことはある」
「カブト虫に負けた貴様だけには言われたくはない」
「負けたとは言っても、紙一重での敗北だ。それに奴は強かった……」
「だが、カブト虫であろう」
「俺の宿敵を罵るのは、やめてもらおう!」
激昂するジャドウの姿を見た観客たちは、全員同じ事を思っていた。
『カブト虫に負けたんだ……』
自分の屈辱を語られたジャドウは猛然と敵にサーベルを振るう。しかし、将軍も負けてはおらず、そのまま互角の勝負を演じる。
それから三十分後、フレンチが満面の笑みで博士に言った。
「博士、そろそろ僕と一緒に帰ってオフロに入りましょう」
「えっ?今のは聞き間違いかな。きみが私とオフロに入ろうって言ったような気がするんだが……」
「聞き間違いではありませんよ。さ、早く帰って、二人三脚の疲れを落としましょう!」
「夢みたいな話だよ!」
「ふたりとも待ってよぉ。私も帰る〜♪」
博士とフレンチとハニーは、家に帰って行った。残る観客はヨハネスとアップルのふたりとなった。それからあまり間を置かずにヨハネスがアップルに切り出した。
「僕は食べていたポップコーンがなくなっちゃったから、帰ることにするよ。きみはどうする?」
「僕はもう少しふたりの闘いを見ておくよ。やるべき事もあるから」
「やるべき事?」
ヨハネスの問いかけに、彼は笑顔で頷いた。ヨハネスが帰った後も熾烈な戦いはなおも続き、そして公園に設置されている時計が六時を回ったとたん、彼らの腹がぐうう〜っと鳴ったのをアップルは聞き逃さなかった。
彼は満身創痍になっているふたりに近づき、口を開いた。
「ふたりとも、お腹空いていませんか?」
「言われてみれば、そんな気がするな。少年よ」
「私も長時間闘いすぎたようだ。今日はこれで停戦することにしよう」
「フフフフ……腹が減っては戦はできぬとは、よく言ったものだな」
「ジャドウさんにジュバルツ=ブラックロー将軍、僕の家、今日はりんごをたくさん使ったカレーなんですが、食べていきませんか」
彼の提案にふたりは顔を見合わせると、彼に口を開いた。
「「ごちそうになるとしよう!」」
アップルの好意に感謝したふたりは、しっかりカレーを食べた後、それぞれの故郷へ帰って行った。