複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.86 )
- 日時: 2015/02/01 07:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「フレンチ君、機嫌を直してくれたまえ」
「……」
「チキンの照り焼きをあげるから、いつもの愛くるしい笑顔を見せておくれ」
「……」
ここ三日前からフレンチは機嫌を損ね、博士と一言も会話をしていない。彼はソッポを向いて彼と顔を合わせようともせず、頬を膨らませて怒っている。
なぜ、こんな事になってしまったのだろうか。それを知るためには、話を三日前にさかのぼらなければならない。
この日の朝、博士とフレンチとハニーは、いつものように三人で朝食を取っていた。美味しく食べ終わり、それから三人とも本を読んだり、発明をしたり、テレビを見たりと自分の好きな事をして過ごしていた。ここまでは、いつもと変わらない日常で、何の変化もない。
しかし、悲劇はこの後から始まったのだ。つい先ほどコーヒーを三杯も飲んだフレンチは、急に尿意に襲われてしまった。彼は読んでいた本を閉じ、トイレへと向かった。
ところが、彼はここで大きなミスをしてしまっていたのだ。誰かが開ける可能性がないとは言えないトイレであるが、すぐ終わるだろうと考え、トイレのカギを閉めないで入ったのだ。
同じ頃、博士も朝食時にココアを飲み過ぎたことが原因で、トイレに行きたくなってきた。彼もフレンチと同じようにトイレに向かう。そしてカギが開いている事を確認する。カギはどうやら開いているようだ。勢いよくドアを開けてトイレに入ろうとした彼が見た光景は、トイレをしている最中のフレンチの姿であった。ふたりは二、三秒互いの顔を見て呆然とした。そして博士の視線はゆっくりと下になっていき、彼の下半身についているアレ(名称は敢えて言わない)に向けられる。それを見た彼は至福の笑みを浮かべる。フレンチは怒りと恥ずかしさで顔をみるみる真っ赤に染めていき、彼の顔面に渾身のグーパンチを見舞った、という訳である。それ以来、彼は一度も口を聞いてくれなくなってしまった。
「フレンチ君、わざとやったわけじゃないんだから、そろそろ許してもらえないかな?」
すると、三日間一言も彼と会話をしなかったフレンチがついに口を開いた。
「博士なんか、大っ嫌い!」
フレンチはイスから立ち上がるなり二階へ駆けあがると、自分の部屋のカギを閉める。そしてベットに倒れ込むと、枕に顔を埋めて泣きだしてしまった。それは、悲しみと恥ずかしさと、そして三日前の事件は自分がカギを閉めなかった事で起きたものだと言う後悔の念からの涙であった。果たして彼らはこのまま仲直りできるのであろうか。