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複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.9 )
- 日時: 2015/02/13 21:27
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
男は、ベンチに腰かけため息をついた。その背中かが「何も語りかけるな」とそっと語っているようだった。人は皆、彼の姿を見かけると、ひそひそと内緒話を始める。地獄耳である彼の耳にはちゃんとそれらの声も聞こえていた。公園で遊ぶ子どもたちも、彼の姿を見ると、指を差して笑っていた。
「人の世は諸行無常とは言えども、これはさすがに悲しいものだな……」
金ボタンの黒革のロングコートに黒のブーツ姿の彼、闇野髑髏(やみのどくろ)は、宇宙人たちが経営するヒーロー集団兼プロレスジムである、スターレスリングジムのOBである。無敵の強さを誇り、今だ嘗(かつ)て誰にも負けたことのない男だった。スターレスリングジムに所属しているものは、不老長寿が多いが、彼の場合は文字通り不老不死の肉体であった。人類が生まれる遥か前から生存しており、これまでずっと陰ながら地球を守ってきた、いわば守護神である。しかし彼は、時代の変化について行けなかった。
「なぜ私のコスチュームは、人から好かれないのだぁああああああああああっ!」
魂の叫びとも言える絶叫を大空へ向かって放った彼は、ため息をつき、再びベンチに腰を下ろした。
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