複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.90 )
日時: 2015/02/01 17:26
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ここは街の中心に位置する公園。この場所でふたりの子どもが向かい合って対峙していた。ひとりはフレンチ、そしてもうひとりは、オレンジ色の三つ編みに同じ色の半眼に赤い中国服を着た美少女——であったら読者は喜んだかも知れないが、今回も案の定性別詐欺の美少年である。

「僕はきみとは闘いたくありません、王李(わんりー)さん」
「あなたが例えそうだったとしても、僕はあなたを倒さなくてはなりません」

彼は息をふーっと吐いて静かなる闘志を燃やす。そして中国服の袖口からステンレス製のヌンチャクを取り出し、構えを取る。

「あなたと僕はキャラが被り過ぎています。自分の存在を取り戻すためにも、あなたを倒す必要があるのですっ」
「無茶苦茶ですよ!?」
「問答無用」

彼はヌンチャクを振り回し、彼に急接近する。フレンチは愛用の武器であり楽器でもあるフルートでヌンチャクの攻撃を防ぐ。

「アチョーッ!」

素早く飛び上がり、そこから強烈な蹴りをお見舞いする王李。それをまともに受けたフレンチは吹き飛ばされ、後退する。間髪入れずに彼に足払いをかけ体勢を崩させるとフレンチの腹にボディーブローを数発撃ちこむ。

「グハッ……」
「今朝食べたものを全部吐いてしまうがいい」

その言葉通りフレンチは彼の中国服に汚物を吐き出す。

「や、やめろ下品!」

彼はフレンチの後方に回り彼の腰を掴み、そのままジャーマンスープレックスで地面に叩き付ける。僅かな攻防で満身創痍となったフレンチに対し、彼は冷たく見下した瞳で告げた。

「あなたが私に敗北した場合、私があなたに代わって博士の助手となってあげますよ」

さすがは悪役と言ったところであろうか、彼に対しじわじわと精神的攻撃を加えていく。

「そろそろ十八番である、フルートを使った『魅惑の音楽殺法』をお披露目したらいかがですか?」

彼は立ちあがろうとするフレンチに執拗にストンピングを浴びせ、肉体と精神の両方を痛めつける。

「き、きみはこの作品がコメディである事を忘れているようですね……」
「!?」

彼は王李の足を掴み立ち上がると、天使の微笑みを浮かべ言った。

「きみが僕に対してどんな怨みがあるのか分かりませんが、博士の助手はこの僕ひとりです!」