複雑・ファジー小説
- Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.91 )
- 日時: 2015/02/01 18:19
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「フレンチ君、私も加勢してあげるっ!」
声と共にスタッと王李の目の前に降り立ったのは、ハニーだった。それを見た王李は口を開く。
「ハニーさん、あなたは今この闘いに関係ないでしょう。邪魔をしないでいただけますか?」
「あるもん!私はフレンチ君の友達だから……大切な友達をいじめるなんて、絶対許せないんだからっ」
「口ではいくらでも言えますが、そう怯えていては、説得力ゼロです」
ハニーは言葉と違い、瞳を涙でウルウルさせ、足はガクガクと小鹿のように内股で震えていた。
「そのような姿で何ができると言うのですか。痛い目に合いたくなければ、そこをどいてください」
「嫌っ、フレンチ君は、私が守る!」
その返事を聞いた彼は美しい顔を歪ませ、
「いいでしょう。それならこの技でも食らいなさい」
彼は両掌に炎のエネルギーを溜めると、それをエネルギー波として一気に放出した。彼女はそれを逃げようとせず立ち向かい、後退されながらも、友をこれ以上傷つけられない一心でそれを耐えきった。
「ウフフッ、今のは規模が大きい攻撃でしたから、防ぐのは容易でしょう。しかし……」
彼は右手から火の玉を出現させ、それを空中に放り投げる。そして自身もそれを追いかけジャンプし、上空からハンドボールの要領で彼女に向かって火の玉を投げてきた。
「この攻撃ならそうもいかないでしょうっ」
「ハニーバリアッ」
ハニーは電気で自分とフレンチを覆う事で火の玉を弾き返し無効化する。けれど電気でバリアを作るのは体力を消耗するのだろうか、すぐにバリアを解除してしまい、体勢を崩す。
「おやおや、登場してまだ間もないのにもう体力を消耗してしまったんですかぁ?無様ですねぇ。では、そろそろ止めと行きますか。ふたり仲良く消し炭になりなさい」
彼は吠えると、無数の火の玉を生成し、それを彼女達目がけて蹴りまくる。
「ファイアーマシンガンボール!」
「きゃあああああああああああああっ」
ハニーはガードできずに、すべての火の弾を受けてボロボロになるが、それでもなお立ちあがってくる。
「バカな真似はやめた方がいいですよ。フレンチを守って何になると言うのです?あなたの彼氏でもない彼を救うメリットなどどこにもないでしょう。しかも、彼は博士の愛を百話が過ぎても受け入れない最低のゴミク——」
「……確かにあなたの言う通り……」
「酷くない!?」
フレンチがツッコミを入れるが、ハニーの耳には届かない。
「分かっているなら、早くそこをお退きなさい」
彼女は王李をキッとした闘志の溢れる青い瞳で睨む。
「……フレンチ君は素直になれないところがあったり、博士に過剰なツッコミを入れたり、ヨハネス君と喧嘩したりしてるけど——それでも、いいところもたくさんある、大切な私の友達なんだから!」
「ハニーさん……」
「僕にとってはただの邪魔なキャラ被りのゴミク——に過ぎないんですよ」
「大切な友達をいじめて、バカにしたあなたは、私がお仕置きしてあげるっ」
彼女の宣言を聞いた王李は、腹を抱えて大笑い。
「そんなボロボロの体で何ができると言うのです。あなたのただひとつの取り柄である可愛さも、そんなにボロボロになってしまっては台無しですねぇ。どうして作者があなたのようなへちゃむくれをレギュラーキャラに入れたのかが分かりませんよ」
「私の取り柄は可愛さだけじゃない……私が自分で思う一番の取り柄、それは——」
彼女は雷で光の巨大な弓を作り、イナズマの弓を装填する。そしてそれを力の限り弓矢を引いて敵に狙いを定める。
「どんなに劣勢になっても決して諦めない、根性だっ!」
「それは自分の口から言うことですかねぇ?」
「ハニーの新必殺技、サンダーアアァハニーアローッ!」
彼女の放った弓矢は彼に命中し大爆発を起こす。しかし敵は諦めが悪く、半裸になり怪我を負っても、執念で彼女にヌンチャクを振りかざし襲い掛かってくる。
「小生意気なへちゃむくれが、この僕に敵うと思うなよ〜っ」
彼女は棒立ちになり、敵の接近を真正面から受け、彼の顔面に渾身のストレートパンチを撃ちこみ、顔面を抉る。パンチの威力に吹き飛ばされ、フラフラで立ちあがってくる彼にハニーは得意技を発動した。
「今だっ、サンダーレィイン!!」
「キイエェェェェッ」
彼は断末魔と共に黒焦げになりながら上空へ吹き飛ばされ、星になった。
「フレンチ君、立てる?」
「ありがとうございます、ハニーさん。僕のために身を挺してくれて闘って……」
「友達なんだから、これぐらい当然だよ♪」
彼女は彼とがっちりと握手を交わし、互いの友情を確かめ合った。
「お腹すいちゃったから、フレンチ君おやつ作って♪」
「ええ〜っ」