複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.98 )
日時: 2015/02/06 11:03
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

フレンチは巨大なあんまんを前に、持ち前の頭脳を回転させ、この危機をどうやって乗り切ろうかと策を巡らせていた。
ふと隣を見てみると、対戦相手であるクロワッサンは無言で口いっぱいにあんまんを放り込み、アッという間に食べきると、彼に勝利するのは自分だといわんばかりの微笑みを浮かべ、先を急いだ。それを呆気に取られて見ていたフレンチであったが、彼は大食いなら大食いで対抗すればいいとヨハネスを電話で呼び出し連れてくると、彼に巨大なあんまんを食べてもらう事にした。当然の事ながらヨハネスは大喜びであんまんにかぶりつき、瞬く間に完食して彼の道を切り開いた。

「ありがとう、ヨハネス君!」

普段は彼に何かをしてもらっても、お礼の言葉ひとつ返さないフレンチであったが、今回ばかりは話が違い、彼の手をがっちりと握り天使の微笑みで礼を言うと、前を走る対戦相手を無我夢中で追いかけ始めた。
一方その頃、昼食時が近くなったため、博士と一緒にマラソンを観戦に来ていたハニーのふたりは、オーロラビジョンを眺めながらランチを食べる事にした。
博士は昼食用として、予め早朝に焚いておいた出来立てのご飯を使用した、海苔を巻いた塩おにぎりをハニーに大量に作らせていたのだ。しかも博士が発明したいつでも焼きたての味が楽しめるパックに入れておいたため、冷めても美味しいハニーのおにぎりは更に美味しさを増す。

「うーん、塩味が効いて、柔らかくてアツアツのおにぎりはいつ食べても最高だねぇ。さすがはハニーちゃん、料理が上手だねぇ」
「エへへ、博士はいつも褒めてくれるから、嬉しいな♪」

彼女と博士は笑顔でビジョンに映る汗だくのフレンチにはしばらく気にも留めず、楽しく雑談しながら、美味しいおにぎりを平らげた。
それを知らないフレンチが見たら一体どんな顔をしたであろうか。それは誰にも分からない。しかしながら、ただひとつ分かっている事は、シナモン博士の助手は空腹とも格闘しているという事だけであった。