複雑・ファジー小説

Re: 変態紳士と美少年助手の愉快な毎日 ( No.99 )
日時: 2015/02/07 20:20
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

博士とハニーは食後のお茶を飲みながら、のんびりとした雰囲気でマラソンを観戦していた。

「博士、フレンチ君ってすごいんだね!お昼ご飯も食べていないのに、こんなにたくさんの距離を走り続ける事ができるだなんて、尊敬しちゃう♪」
「今のセリフは彼が聞いたら、きっと涙を流して喜ぶだろうね」
「フレンチ君が無事に完走できたら、順位に関係なく、ハグしてあげようと思うんだ〜♪」
「きみにハグされたら、フレンチ君は嬉しさのあまり気を失ってしまうかも知れないね」

ふたりはお茶を飲みながら、デザートの饅頭を頬張り、観戦を続ける事にした。
博士は饅頭を一口食べ、お茶をすすり幸せそうな表情で口を開いた。

「やっぱりお茶には、お饅頭がよく合う!」

所変わってフレンチとクロワッサンは、最後の障害物が待ち受ける十五キロ地点に到達しようとしていた。ちなみに残りの五キロのうち三キロは作者の気まぐれなのか、道は急な傾斜になっていた。

「この三キロある坂道を登って、二キロの一直線を走ればゴールですね。クロワッサン君、僕は最後まで勝負を諦めませんよ」
「……(コクコク)」

ここまでの道のりをたったふたりだけで競争してきたためか、ふたりには走ったものにしか理解できないであろう友情が芽生えていた。
そして彼らは、いつの間にかふたりの博士のためだけではなく、自分のためにも負ける訳にはいかないという気持ちで走っていた。そして、上り初めて二キロが過ぎようとした時、最後の障害物がゴロゴロという音を出して急な斜面を転がってきたのである。

「アレは……」

フレンチは自分たちの目の前に高速で転がってくる巨大な岩のようなものを見て、その正体が何であるかを見抜いた。

「ミートボール!?」
「フハハハハハ……ワシのミートボール作戦に潰れてしまうがいい、シナモン博士の助手よ!」

チビボテ博士は雷の効果音を鳴らし、悪の発明家らしく大笑いを浮かべる。
そして、その笑いを傍で聞いていたであろう博士とハニーのふたりに感想を聞いてみた。

「今の笑い声点数を付けるとしたら、何点ぐらいじゃ」
「二十点ぐらいではないかね?」
「わかんないよぉ」

彼らふたりの反応に彼はほんの少しの間だけ落胆してしまったものの、オーロラビジョンに次々と映るミートボールの岩石を見て、歓喜の声を上げる。

「どうじゃ、ワシのミートボールで助手がペシャンコにされた感想は!?」
「ハハハハハハハハハハ!きみの目は節穴かね。よく見てみたまえ」
「何っ」

博士に言われたチビボテ博士がハッとしてオーロラビジョンを再度確認してみると、そこには油で服と口を汚しながらも元気なフレンチの姿があった。

「バカな。どうして奴が復活したと言うのだ!」

彼は自分専用の小型ユーフォーに乗り込み、敵の様子を伺いに行った。上空で浮遊しつつ、ユーフォーの先端に取り付けられてあるスーパーズームカメラで彼の顔をクローズアップしてみる(紳士淑女の読者は目を背けるように!)と、彼の口の周りにはミートボールの食べかすが付いていた。

「ややっ、あのフレンチとかいう小僧、巨大ミートボールを食ったのか!?」

その声にフレンチは口の周りを丁寧でハンカチで拭いて、

「美味しくいただきました。ありがとうございます!」

そしてペシャンコに潰されて、紙のようにペラペラになっているクロワッサン(コメディ作品のため、空気を入れれば元に戻る)を一瞥した後、今まで以上の力を発揮して見事勝利を収めた。この後、空気を入れられ元に戻ったクロワッサンは彼と友達になり、ハニーと博士が無事完走を成し遂げた彼にハグをし、互いに喜びを分かち合った。