複雑・ファジー小説
- Re: レイヴン【キャラクターイラスト公開】※随時調整 ( No.13 )
- 日時: 2014/12/22 13:06
- 名前: Ⅷ ◆WlOcYALNMA (ID: .Dr7fIW0)
「この男はもらっていくよ、中途半端な【アビリティ】君」
そこには、黒いマントを身体全体に巻きつけ、無表情の白い仮面で顔をおおった、あまりにもふざけていて、ほんの一瞬の間で消え、そして再び現れた男が……そこにいた。
蓮が、刃のそばにかけより、抱え起こす。蓮のてを借りながら立ち上がり、刃は仮面の男を睨む。
刃は自分の甘さを後悔していた。さきほどあったときから、この男はなにかやばいと思っていて、そして、警戒していたはずなのに、いざ戦いが始まってしまえばそのことを忘れ、この男がもしも戦いに乱入してきたら、なんていうことは一切考えていなかった。
その結果、刃は油断し、男の出現に気づかずに、一撃もらってしまったばかりではなく、【アビリティ】の男に止めを指しそこねてしまったのだ。
男は、まるで演技でもするかのようにマントから腕をだし、両腕をひろげ、顔をすこし上にあげ、こちらを見下すかのように見る。
「ここでキミたちを殺してしまいたい気持ちはやまやまだが……二対一では分が悪い。また今度にしよう」
「チッ」
刃は、男が逃げると思い、とっさに走り出す。その超人てきな速度に男の仮面のなかの目がすこしだけ見開かれた、が、それだけだった。
刃が一瞬で男との間合いを詰めたかと思ったが、仮面の男は、倒れた男を担ぎながら、姿をかき消し、そして、刃の隣に立っていた。
「なっ」
再び刃の目が驚愕で見開かれたと同時に、腹に鈍い衝撃が走る。さきほど刃が【アビリティ】の男にしたように壁に叩きつけられ、あまりの衝撃で壁に亀裂がはいる。
「中途半端な【アビリティ】君。しかるべき時が来たら、いずれまた会おう」
刃が壁から床に落ち、がたがきはじめている身体をなんとか立ち上がらせ、男を睨む。
「お前は……なんだ……?」
そして、問う。
その問に、男が、戦いの前に言い放ったときと同じような声色で、なにがおもしろいのか半笑いぎみで、こう、囁いた。
「私は———世界を、滅ぼす者」