複雑・ファジー小説

Re: レイヴン【更新速度低下】※随時調整 ( No.19 )
日時: 2014/12/26 07:15
名前: Ⅷ ◆WlOcYALNMA (ID: vLFo5XnB)

戦いの後、混乱しきってしまったショッピングモールでのんびりと買い物なんてできるはずもなく、しかたなく警備員に報告だけ済ませて、刃たちは裏口から外にでていた。

【アビリティ】の男たちをみつけて、戦闘がおわってから、まだ一時間近くもたっておらず、まだまだ太陽が活発に活動しているが、若干オレンジ色になりかけている空を見上げれば、自然とよるが迫っていることが伺えた。
夏の気温は、涼しかったショッピングモールのなかとは大違いで、刃たちの肌を容赦なく照らすが、どうにも刃は、その太陽の光が心地よいと感じていた。

「刃兄さん……もう少し休んでたほうがいいですよ」

刃に肩を貸しながら歩く蓮は、刃のことを心配そうにみつめる。

仮面の男……自らを世界を滅ぼす者と名乗ったあの男による一撃は、あきらかに、普通の人間がだせるそれを越えていた。

刃が、【アビリティ】の男にやってのけたように、仮面の男もまた、刃を壁にひびが入るほどの力があった。

それは、間違いなく、仮面の男が、刃と同じように、運動能力が【アビリティ】になるさいに限界を超えたタイプであることは明らかであった。

そのために、刃に身体にきているダメージは相等なもののはずだが、刃は、自身の身体を、蹴りをモロにうけた腹の辺をさらってみて

「数本もっていかれたっぽいな」

と、呻きながらつぶやく。

実際なら、もう少し休んでからいくなり、自力で【レイヴン】に帰るのではなく、迎えがきていてもおかしくないダメージをうけていることもたしかだったが、【レイヴン】のほうも、仮面の男の出現によってかなり混乱しているらしく、刃たちの直々の上司……【アビリティ】ではないものの、【レイヴン】として働いている人も、そこまで気が回るほどできている人間とは思えなかった。

さきほど、電話ごしにきいた……【レイヴン】が認識する、あの仮面の男の危険度を聞いたときに、刃たちは表情を失ってしまった。

危険度、というシステムは、【レイヴン】がターゲットの【力】を分析した結果に導き出す、いわば【アビリティ】のスペックを表したものだ。上からS、A、B、Cという四段階に分かれており、今回のターゲットであった男は、炎の濃度と、社会に裏切られたばかりで、生き残るためならば、【力】の限界以上の能力をもってしてでも相手を排除するだろうという分析から、A判定がだされていた。

危険度により、【レイヴン】に所属している【アビリティ】ペアに出動要請がかかる。ペアとしての連携がしっかりとできていて、かつ、【アビリティ】としてのスペックが高いペアにはS以上の捜査が要求され、あまり【アビリティ】として【力】が強くないようなペアは、A、B、Cの三段階の対応を任されることとなる。当然、どのペアも最初からしっかりとして連携がとれるわけでもなく、【アビリティ】を、人間をころすということにためらいがない【アビリティ】はほとんどおらず、S判定以上の対応を任されるようになるまで相当な時間がかかる。

そのことを踏まえて、危険度SSSというのは、基本の四段階の中でもっとも恐ろしい【力】をもっていて、優秀なペアでしか対応できないS判定のさらに上の上……同じSがついていても、化物としてのレベルが天と地ほどの差ができてしまうような化物のことを指していた。

【レイヴン】がこの世界に、【アビリティ】には【アビリティ】を、という考えを提唱してから十年。危険度SSSランクという存在は、2人しか観測されていなかった。

天災。破壊の王。魔王……さまざまな呼び名で呼ばれ、人々の畏怖の象徴とすらいえる、最強であり、最凶であったこの二人の【アビリティ】……それに次ぐ男が現れていたことに、刃たちは、言葉を失ってしまったのだ。
危険度SSSが出現していた……末端の構成員である刃たちが知ったところでどうしようもない話であったがために、このことは上司から直接聞いたのはこれが始めてたせったが、数ヶ月前に、【レイヴン】はその男の判定をSSSとだし、一時期【レイヴン】内部でかなりの混乱が生じていたらしい。そのことをふまえ、一度上司と話あうために、刃たちは帰路につく。