複雑・ファジー小説
- Re: レイヴン【三話・因果】※作者トリップ変更 ( No.50 )
- 日時: 2015/08/03 21:14
- 名前: Ⅷ ◆S0/yc2bLaI (ID: oQpk3jY4)
そんな時、頭のなかにふとした違和感が生まれる。それに気を取られては相手の思うツボだと思ったがその違和感をぬぐいきれず、刃は考える。
同じ違和感を持つ【アビリティ】。人工【アビリティ】。なぜか気になって仕方が無かった……。なぜか刃は、仮面の男にこらえきれないほどの恐怖を、最初に出会った時に感じた。いままで、SSSと称される【アビリティ】と戦ったことがないため、おそらしい【力】をもつ【アビリティ】と戦った時に感じるプレッシャーのようなものだとばかり自分では思っていたが……もしもそれが、そうでないとしたら?
なら、いったいなんだ。
仮面の男に感じる恐怖という名の違和感。言葉から生じた違和感。それは、ごくごく簡単なもので……そして、この世界で、【レイヴン】という名のシステムが蔓延るこの世界では……けして、けしてあってはならないことだった。
刃は、痛みとはちがう、おそろしいまでの恐怖で体がすくみ上がる。だからなんだというのだ。もしそうだったとして、それがどうしたというのだ。いま、目の前にいる敵を排除するのが自分の役目で、恐怖で体をすくみあがらせている暇はないはずだ。なのにどうしてか刃の体は動かない。どうやっても、動かなくなってしまった。
「お前は……まさか———」
そして震える声で口にする。仮面の男がどういった存在で、どうして【レイヴン】から追われ、どうしてその存在をひた隠しにされ、極秘裡に上位部隊が動いていたのかを———
「人工……【アビリティ】」
その言葉を聞いた仮面の男は、仮面の下からこらえきれないと言わんばかりに高らかに笑った。
ただただわらう。この世界に【レイヴン】というシステムが生まれ、【アビリティ】に対する絶対の支配者として君臨していらい、前例がない、過去最高の事態に遭遇し、恐怖を隠しきれない目の前の愚かな『【レイヴン】に囚われている』【アビリティ】を見て、『【レイヴン】を欺いた』【アビリティ】は、ただひたすらに笑う。
「そうだ!!そのとおりだよ中途半端な【アビリティ】君!!私こそ———人工【アビリティ】計画最初の成功者、出来損ないの中途半端な【アビリティ】、元【レイヴン】の忠実なる犬。そして今は———世界。いやちがう……システム……【レイヴン】を破壊するものだよッ!!」
