複雑・ファジー小説

Re: デッドバスター 皆様にアンケート ( No.159 )
日時: 2015/05/13 17:52
名前: KING ◆zZtIjrSPi. (ID: KnTYHrOf)

「神光国家……!?まだいたの!?」
「そりゃあいますよぉ、アトラスはただの偵察程度にここに来てもらっただけぇ〜」
「テット、無駄話が過ぎるよ」

 かぐやの言葉に舐め腐ったテットの返事が返ってきた。
 そんなテットにニコニコと、だが嫌悪感を隠さないイリヤは吐き捨てるように言い放つ。

「うっせーなっ。わかってるわよぉ、【クローディア様】のためなんですもの。ドラゴンは確実に奪っていきますっ!!精々足を引っ張らないでよね〜イリヤ」
「それはこっちのセリフだよ、大した攻撃もできないくせに」
「————来ます」

 かぐやはくじらたちにどういうわけなのか説明を求めようとした。
 だが、それよりも先にテットとイリヤが飛び掛かってきた。
 そのため、仕方なくかぐやは斧、郡司は如月を取り出した。

「リザルテ!!」
「効かないでっすよ〜。こんな攻撃ぃ」

————ドドッドドドド!
 と、複数のリザルテを飛ばす。
 だが、テットは手のひらから黒い円盤のようなものを取り出す。
 そこにリザルテは吸い込まれてしまい———。

「郡司、後に飛んできます」
「うおっと」

 ドドドドド!
 と、郡司の後ろからリザルテが現れ、彼に向かって発射させた。
 おかしい。確実に自分のリザルテはテットに飛ばしたはずなのに。

「おかしい、って思ってますね〜。姫君。おかしくて正解ですよ。さっきの攻撃はあたしのソウルブレイブの能力ですぅ。相手の攻撃を異次元に閉じ込めて、違う場所へ発射する——1つのわ・ざ♪」
「……やってくれたわね!」

 なら。物理的の斧の攻撃なら。
 これなら吸い込まれる心配も、また味方も攻撃することもないだろう。
 
「待て、かぐや!」

 郡司の制止の声が聞こえる。
 だが、止まるわけにはいかない。
 テットはわざとらしく甲高い声を出した。

「キャッ!怖ーい!……イリヤ、何とかしなさいよー!」
「君のその声なんとかならないかな?気に障りすぎて君の声帯凍らせたくなるよ」
「はあっ!」

 ブン!とかぐやは2人まとめて縦一閃に斬る。
 だが、その瞬間。
 ビキビキビキビキ……。
 と、見覚えのある者と音が響いた。

「……氷!?」

 イリヤが掴んだ斧。
 普通だったら手が切れているか、大量出血は免れないはずなのに。
 だが、イリヤは敢えてつかみ、自分の手と斧を凍らせていたのだ。
 そのせいで彼の手から斧が引っこ抜けない。

「放しな……さいよっ。斧が凍っちゃったじゃない!」
「嫌だなぁ。それをやるために僕がいるんだから。君は面白いね」
「何ですって!」

 じたばたと牽制を続けるかぐや。
 だが一向に氷が解けることはなかった。
 下から郡司とくじらは不思議そうに呟いていた。

「アトラス以外にも氷使いがいたのか……?」
「わかりません。もしかしたら……」

 どこか冷や汗を掻いているようにも見えるくじら。
 その問いに笑顔でイリヤは答える。

「その通りですよドラゴン。アトラスが死んだ後釜みたいなものですね。ああ、少し間違えました。アトラスは弱かったから【生】を手放しました。そして僕は彼の何倍も強いので——気を付けて下さいね」

 そう微笑んだイリヤの表情は悪魔のようだった。