複雑・ファジー小説

Re: 虹至宝【早速キャラ募集】 ( No.10 )
日時: 2014/12/30 17:41
名前: kiryu (ID: nWEjYf1F)
参照: 保留解除。>>6を更新しました。

 結論から言うとユグドラシル遺跡は、鬱蒼とした森であった。
 近場からでは見上げても頂点の見えない巨大な入り口が2人を出迎え、超がつくほど広い内部では所狭しとあらゆる木々が根を伸ばしていて、まさに足の踏み場もない。
 これの何処が遺跡だというのだ。この疑問はアレンだけでなく、ジェシカも同様にして抱いていた。

「邪魔ね」

 そういいながら腕を振り回すジェシカの手には鍵爪が握られていて、通行を阻む枝や草を切り刻んでいた。
 アレンも錬金術を用いて一応ダガーを作っておいたが、この様を見ると、どうやら必要なかったらしい。
 彼女が通った後に道が出来ているようなものなのだから。
 しかし。

「疲れた」
「だろうね」

 突然スイッチが切れたかのように、ジェシカがその動きを止めた。
 両腕を無気力にぶらぶらさせて回復を試みているその片や、今度はアレンが先行して枝葉を切り始める。

 ——しばらくこのようなやり取りが続き、やがて2人はかなり深い地下へとやってきた。

「こんな降りてばっかだと、帰るのが大変になりそうだな」
「そだねー。あたしもちょっときついかも」

 笑っているジェシカだが、少なくともアレンには、まだ大きな余力を持て余しているように見えた。
 先ほど散々腕を振り回していたので確かに腕の体力はなくなっているだろうが、身体全体の体力、特に猫ならではの脚力は明らかに有り余っているだろう。
 ましてや猫になれば、体の重さが変わるためにその脚力は飛躍的に上昇する。

「……どうも嘘っぽいな」
「んー? 何か言った?」
「いや、何でも」

 ジェシカの後ろに阿修羅像が見えた気がしたアレンは、これ以上余計なことは口にしないでおこうと口を噤んだ。
 口は災いの元とは、よく言ったものだ。