複雑・ファジー小説

Re: 虹至宝【キャラ募集一時終了】 ( No.22 )
日時: 2015/01/03 21:03
名前: kiryu (ID: nWEjYf1F)

 やっとの思いでギルドに戻ってこれたアレンを見るなり、その場にいた一同は一瞬固まった。

「どうしたの? アレン」

 固まって、最初に沈黙を破ったのはジェシカ。
 対してアレンは何も答えず、ただ右手の布を彼女に渡した。

「それ着とけ。穴がまだ開いてないから、誰かに加工してもらうんだ」
「う、うん……」

 素直に受け取ったジェシカは何も聞かず、1人ギルドのメンバーを連れて奥の部屋へと入っていく。
 残されたアレンはナタリアだけを残し、その他の人物にはこの場を去るように言い、皆はその言葉に従って各自どこかへと散っていった。

「何で私だけ残したの?」
「ナタリアさんになら、相談できるかと思ったんです」
「な、何を?」
「実は——」


    ◇   ◇   ◇


「……ふうん、なるほどね」

 アレンは、先ほどあったことを全て話した。
 方や話を聞くナタリアは、その間中ずっと訝しげに眉根を顰めていた。
 聞き終えても尚、それが戻ることは無い。
 いい眉が台無しですよ——そう言おうかとも思ったアレンだが、やめておいた。

「アレン、ちょっと後で話があるから」
「え、お、俺なんかやらかしました? お騒がせ、みたいな……」
「別に、城下町を騒がせたことは何も言わないよ。しょうがないもん。私が言いたいことは、それとは別よ」
「……?」

 いくら首を傾げようが、全く以ってナタリアの言おうとしていることがわからない。
 そんなアレンを見て、ナタリアは笑った。だがその笑いには、多分に呆れを含んでいるのだろう。

「とにかく、今はお風呂に入ってきなさい。寝巻きならギルドのやつ貸してあげるから」
「は、はい」
「よろしい。はいこれ、洗面セット」
「あー、ありがとうございます」

 何故かカウンターの下に置いてあった洗面器を、アレンはぎこちなく受け取った。
 垢すりタオルにシャンプーや石鹸、バスタオルなど、必要なものが全て揃っている。
 しかし、一体何故これがカウンターに置いてあるのだろうか。考えていたらいつの間にか、彼は脱衣所で服を脱いでいた。