複雑・ファジー小説
- Re: 虹至宝【早速キャラ募集】 ( No.4 )
- 日時: 2014/12/27 21:08
- 名前: kiryu (ID: nWEjYf1F)
「今日もいい天気だ」
そう言って大草原の道を歩いているのは、主に狩りを生業として生きてきた少年"アレン"
彼は今日の獲物を探し、同時に魔獣退治の依頼も請け、それにより指定された場所へと赴いている頃合であった。
しかし、狩りを生業として生きてきたとはいっても、今の彼の持ち物に、これといって武器らしきものはない。
何故なら、全て魔法で事を成すことが、彼には可能なのだから。
「おっと、御誂え向きの獣だな」
すると丁度、彼の目の前に魔獣が現れた。
——魔獣。それは動物が進化したものとされており、通常の動物よりも高い知能と力を兼ね備えている生物の総称である。
しかし、何も進化したのは知能や力、見た目などだけでなく、凶暴さも大きく進化していたらしい。それに伴った影響で人間に害を与えることでも知られ、今やその魔獣を倒すための技術や才能を持った人々による専門職業さえ出来上がっていた。
その専門職業は"ギルド"と呼ばれ、傭兵や戦士以外にも不可思議な力"魔法"を扱う魔法使いなどが所属している。
魔法とは、またそれに伴って出来上がった技術だ。ただ、何も分かっていなかった古代文明についての研究が進み、当時目覚しい発展を遂げていた要因となる件の魔法についてようやく分かったので、再現できた、という方が正しいだろう。
しかし、魔法自体は誰であっても学問を修めることにより扱えるが、高度な魔法を習得するには相応の知識だけでなく、元々備わっている才能や素質なども要求されるため、扱える人物はこの星の人口の半分とされている。
ましてや、より高度な魔法を扱える人物などほんの一握りのみ。そんな彼らは尊敬の意味を含め"賢者"と呼ばれていた。
今ここで魔獣と対峙しているアレンもその魔法を習得できた1人ではあるが、彼は上の下辺りの実力しか持っていなので、賢者にはほど遠い。しかし、十分に賢者になりえる才能は秘めていた。
「そらよ!」
目の前でアレンに襲い掛かろうとしていた猪状の魔獣に、彼は一気合と共に右手を振り上げた。
振り上げと同時に彼の手から離れたのは、いつの間にか手に持っていた3本の投擲ナイフ。
それらは見事猪に命中し、先手を撃つことが出来た。
彼が賢者になれる才能を秘めている理由は、この特殊な魔法にあった。
その場で即座に何らかの物質を消費し、質量保存の法則によるそれと同等の何かを作り出す術。人はそれを"錬金術"と呼び、アレンはその錬金術を自在に扱うことが出来る才能を持っていた。
元々錬金術とは、長年をかけて不特定多数の物質より黄金をとりだすという、魔法とは何の縁もないものであった。
それが何故魔法を以って再現できているのかは、未だ謎である。
「うーん、こんなもんか」
その錬金術によって作られた3本の投擲ナイフは、近くにあった大きな岩より作られた。
つい先ほどまで大きな存在感を放っていた大岩だったが、アレンが触れたことにより、それは一瞬で消滅したのだ。
やがてそれが小さな投擲ナイフに変わったときは、岩の大きさに見合った威力が発揮される。
よって、投げる力がある程度弱くとも、そのナイフはいとも容易く猪の胴体を貫通していった。
——こんな情勢下でアレンは、今日も同じ日常を終えようとしていた。
しかし、その日常が手の平を返すようになくなってしまうことを、今の彼はまだ知る由もなかった。