複雑・ファジー小説
- Re: 獅舞 ( No.1 )
- 日時: 2015/01/04 00:28
- 名前: 天下のゆまさま ◆qZFKl2dobU (ID: 1z7c.Tqt)
#1
わたしの名前は、「しろねこ」。
よく、間違えられます。「しろくま」とか、「らいおん」とか。ひどいよねぇ、わたしは「ねこ」だよ。にゃー。
わたしは、今日からこの町に住むことになりました。よろしくね。
さぁて、そろそろ部屋を片付けようかなぁ。......めんどくさいなぁ。
よし、部屋の片付けはやっぱ後回しにしよう。
まずは近所の人たちに、ご挨拶だ!!
『ピンポーン』
しろねこは、インターホンを押したふりをして、自分でピンポーンと言った。
「どうぞ~」
しろねこは玄関の扉を開けた。
中には、ふとっちょがいた。
『はじめまして。隣の家に引っ越してきた、しろねこです。』
「これはこれは、どうもはじめまして、しろねこさん。わたしの名前はぶたいぬです。せっかくだし、お茶でもどうですか?」
『いーよ。(肯定)』
「……あ??」
しろねこは、お邪魔した。
『すごいですねぇ。めっちゃ広いじゃないですか。』
「いやいや、子どもがいると全然狭いですよ。」
『ぶたいぬさんも、結構な体積ありますもんね。』
「あぁ??」
『お子さんは何人いらっしゃるんですか??』
「5人います。これが、毎日毎日うるさくてしょうがないんですよ~。」
『あ、ごめん。聞いてなかった。』
「…なんでそこで聞いてなくいられるんですか。」
『このお茶おいしいですね。』
「でしょう。実家で茶葉を作っているんですよ。」
『へぇぇ。その図体で。』
「いや、わたしは作ってないんですけど。」
『へぇ。そりゃすごい。』
「すごい?? すごい要素、ありました??」
『いや、すごいのはぶたいぬさんの顔ですよ。あははは。』
しろねこは、爆笑する。
ぶたいぬは、そこまで温厚ではない。
しろねこは、ぶたいぬに追い出された。
『あ、待ってください。ぶたいぬさん。』
「なんだよ!!」
ぶたいぬは若干キレ気味だ。
『これ……。』
しろねこが差し出したものは、そば。
『そばです。わたし、そばの作り方がわからないんで、あげます。』
「おまえ………。馬鹿なんだな……。」
ぶたいぬは、哀れみの目でしろねこの顔を見る。
『わたしの馬鹿さに今まで気づけなかった、ぶたいぬさんもぶたいぬさんですよ。』
ぶたいぬは舌打ちをした。
「お前、いつ引っ越すの??」
『引っ越すつもりは今のところはないですよ。』
「うわ~、やだ。早く引っ越しちまえ。」
『……。ひっく。ひっく。(泣)』
「あ゛~~~!! 悪かったよ、言い過ぎた。引っ越さなくてもいいよ。」
『嘘泣きですよ。』
「!! あぁ、そうですか!! 」
『なぜ、引っ越さないかというと。』
『ぶたいぬさんみたいな人が、近所の人だからです。』
「!! ……褒めたって、なんも出ねぇぞ。」
『褒めてませんよ。もし私が貧乏になって、ご飯が食べれなくても、ぶたいぬさんを食べれば済む話だからです。』
「……死ねばいいのに。」
『……。ひっく。』
「泣ーくーなーよー!! 悪かった、悪かった。俺が悪かったよ。死ねは言い過ぎたよ、死ななくていいや。死ぬ価値もないや。」
ぶたいぬがそういうと、しろねこはにこっと笑った。
『そばって、フライパンで焼いて食べるんですよね??』
「……もう、なんて言っていいかわかんねぇよ。もう、それで生きていきなよ。」
『ありがとうございます。そうします。あ、あと。』
「なんだよ、まだあんのかよ!!」
『そばって、どのくらいのご近所さんにくばればいいんですかね??』
「ん~。それは、お前がご近所だって思う範囲に住む人に配ればいいんじゃないか??」
『なるほど~。今日はありがとうございました。また来ます。』
「一生来なくていいよ。」
ぶたいぬは、ため息をついた。
しろねこは、嬉しそうに帰って行く。隣の家に。