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複雑・ファジー小説
- Re: 【リリアの目:更新】カタテマ【短編集】 ( No.11 )
- 日時: 2015/03/25 23:03
- 名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)
リリアの目
リリアの目は澄んだ紅色をしています。
紅色の目をした幼い少女の事を街の人たちはまるで化物の如く蔑みましたが、その街外れの村人たちは自分の孫のように可愛がりました。
この村には若者が住んでいません。
若者は成人すると皆、裕福な暮らしを求め街へと出て行くからです。
「リリアちゃん、何処へ行くんだい?」
リリアの里親をしているお婆さんが言いました。
「おばあさん。これから夕凪山の麓まで花をつみに行ってくるわ」
「そうかい。気をつけていくんだよ」
おばあさんは笑顔でリリアを見送りました。
リリアの住んでいる村は山のすぐ鼻の先にあります。
リリアは自分で作詞作曲した歌を一曲歌っただけで夕凪山の麓まで着いてしまいました。
「どこかしら。どこかしら。お花はどこかしら」
リリアは目当ての花を探して山の麓を散策します。
たくさん花は咲いていますが、リリアのお目当ての花は中々見つかりません。
「おかしいなぁ。前来た時には咲いていたのに。枯れちゃったのかな」
リリアは日が暮れるまで探し続けましたが一向に見つかりませんでした。
夕焼けの向こうではカラスが二羽悲しい声で鳴いていました。
「おばあさんが待ってる。帰らなきゃっ」
リリアは村へ向かって歩き出しました。その手にはお土産の山いちごがしっかりと握られていました。
疲れているからかリリアは重い足取りでゆっくりゆっくり歩きました。
ひゅっ。
後ろから風きり音が聞こえてきました。
リリアはちくっとした痛みを右腕に覚えました。
ばたっ。
リリアはその場に倒れ込みました。
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