複雑・ファジー小説

Re: 【リリアの目:更新】カタテマ【短編集】 ( No.12 )
日時: 2015/03/26 18:59
名前: R ◆0UYtC6THMk (ID: J9PmynZN)

リリアが目を覚ましたのは、小さな山小屋のなかでした。
ここはどこだろう、と体を起こそうとしますが自分の体が不自由なことに気がつきます。
手足はロープできつく結ばれ、口はタオルのようなもので覆われていました。
リリアは山小屋の中を見渡しました。
リリアの他に人間は誰もいませんが小屋の片隅に銃が置いてありました。
リリアは自分の記憶を辿ります。
急に気を失ったことと腕に感じた痛みから推測するに麻酔銃でしょう。

「……これで…………かげつ……な」

ドアの向こうから人の声が聞こえます。おそらく二人。
きぃ、ドアの向こうには二人の男が立っていました。
みすぼらしい服を着た青年とおじさんでした。

「へぇ、珍しいな。マニアなら高く買ってくれるんじゃねぇか?」

おじさんが言いました。

「そうですね。おそらく当分は食うのに困ることはないでしょうね」

話を聞く限り、この人たちはリリアを売って生活費にしようと思っているようです。

「で生かしたまま売るのか?」

リリアの額に冷たい汗が浮かびます。

「いえ、街に向かうにはあの村を通る必要があります。バレる可能性もありますし、なかなか労力がいるので。値段は下がるでしょうがその珍しい目だけを売ってもかなり言い値が付くと思います」